ウツギの花
2004年6月3日
2007年6月18日
5月、6月はウツギの花の季節である。
単にウツギと呼ばれる樹の花は、別名ウノハナとして、「夏は来ぬ」に唄われる。
ウツギと言うのは「空木」と書き、茎あるいは枝が中空の樹を、一般に○○ウツギと呼び
ご存じの通りいろいろある。そしてほとんどがこの季節に花を咲かせる。
ウツギを含め、○○ウツギの樹に共通する特徴は、低木かせいぜい亜高木であること、
株立ちで多くの細い幹を立たせること、葉は対生、楕円で先が尖っていることなどがある。
どこか共通するところのある樹だが、属する科は大きく異なっている。
一覧にすると、次のようなものがある。
(表中の名前、および写真をクリックすると、樹木の説明にジャンプします。)
種名 |
分類 |
花 |
葉の特徴 |
離弁花類 ユキノシタ科ウツギ属 |
6月、円錐花序、白 |
対生、中サイズ楕円、有毛 |
|
5月、円錐花序、白 |
対生、中サイズ楕円、無毛 |
||
5月、円錐花序、白 |
対生、中サイズ卵形、有毛 |
||
ユキノシタ科バイカウツギ属 |
6月、集散花序、白 |
対生、大サイズ卵形、無毛 |
|
ユキノシタ科アジサイ属 |
7月、円錐花序、装飾花、白 |
対生、大サイズ卵形、有毛 |
|
5月、散房花序、装飾花、白 |
対生、中サイズ楕円、光沢 |
||
バラ科コゴメウツギ属 |
5月、総状花序、白 |
互生、小サイズ裂状 |
|
ドクウツギ科ドクウツギ属 |
5月、総状花序、黄赤 |
2列対生(羽状複葉に見える) |
|
合弁花類 スイカズラ科タニウツギ属 |
5月、散房花序、赤 |
対生、大サイズ楕円 |
|
5月、散房花序、赤白 |
対生、大サイズ楕円 |
||
スイカズラ科ツクバネウツギ属 |
5月、淡黄色 |
対生、小サイズ楕円 |
まずウツギの代表であるユキノシタ科から比べてみる。
本家ウツギとヒメウツギ、マルバウツギが、ウツギ属の御三家。
ウツギ(上)とヒメウツギ(中)の花。葉の毛の有無で区別。触れば分かる。ヒメに毛は無い。
マルバウツギ(下)は、葉が丸いので分かる。花も小さい。
次に種類の多い、アジサイ属のウツギを見てみる。
ノリウツギ、ガクウツギ共にアジサイと同じで、装飾花(萼が大きい)が特徴。
ガクウツギは、別名コンテリギ(紺照木)と言い、葉に光沢がある。
ノリウツギ(装飾花の萼片は4枚) ガクウツギ(装飾花は3花弁に見える)
合弁花類のウツギは、スイカズラ科に集中する。
タニウツギ、ハコネウツギ、ニシキウツギはタニウツギの仲間。
種の形が、羽根つきの羽根に似ている、ツクバネウツギも仲間は多い。
タニウツギ(赤一色、日本海側に多い) ハコネウツギ(ニシキウツギ)
ツクバネウツギ(後ろの萼が羽根に見える) ハナツクバネウツギ(園芸ではアベリア)
変わり者として、バラ科にコゴメウツギがある。そう言えばシジミバナなどに似ている。
林道沿いに咲いていると、遠目ではウツギの花と間違えそうだ。
注意が必要なウツギは、ドクウツギだ。その名の通り有毒で、かなり危ない。
実は熟すと、赤色から黒紫色になる。猛毒で、食べると死ぬこともあるそうだ。
山にウツギの仲間の、白い花たちが咲きはじめると、梅雨の季節になる。