ウツギ |
学名 | Deutzia crenata |
別名 | ウノハナ | |
空木 | 分類 | ユキノシタ科ウツギ属 (落葉低木) |
枝の髄が中空のための名。卯月(うづき陰暦4月)に花が咲くからとも。 | 原産・分布 | 北海道、本州、四国、九州、奄美大島、中国 |
神奈川県 | 県内全域に分布する。ブナ帯付近まで上がっている。 | |
用途 | 庭木、楊枝、木釘 | |
山野の、日当たりの良いところに普通に生える。また、畑の境の生け垣や、庭木として植えられる。幹は高さ2mになる。 6月になると、丹沢の沢沿いや、林道沿いが、白い花でいっぱいになる。このウツギだけでなく、ヒメウツギやガクウツギ、コゴメウツギ、ツクバネウツギなどが競争して咲いている。ウツギの展覧会のようだ。 ウツギの花 |
樹 丹沢 水の木 050619 |
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若い幹は茶褐色で皮目が目立つ。数年を経ると縦に裂けたような縞模様になる。さらには写真のような樹皮になる。 | 幹 上野原市 秋山 161019 |
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名前の由来になった中空の茎。珍しいわけではなく、株立ちの灌木には中空のものが多い。樹体を作るときのエネルギー節約になるのかもしれない。 | 幹 丹沢 三ケ瀬川 080706 |
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葉は2列に対生する。長卵型または卵状披針型で、縁に低く細かい鋸歯があり先が尖る。表面は緑色、裏面が緑白色で両面に星状毛がある。 | 葉 丹沢 水の木 020616 |
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5月下旬〜7月に、側枝の先に円錐花序を付ける。花弁は5枚、雄しべが10本、花柱は3〜4本ある。雄しべの花糸に狭い翼がある。 花言葉 「古風、風情、秘密」 |
花 丹沢 水の木 020616 |
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球形の実は、刮ハで木質。熟すと3〜4裂する。 ★薬効★利尿、むくみ。乾燥した果実を使う民間療法。 |
実 丹沢 水の木 040717 |
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種子は楕円形で種皮の変化した膜を翼のように持つ。方眼は1mm。 | 種子 上野原市 秋山 160211 |
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1年枝は褐色で、枝先に星状毛が残る。枝の表皮は薄く、短冊状に剥がれる。 冬芽は、芽燐が4列に並び、褐色で星状毛がある。 |
冬芽 丹沢 塩水川 070107 |
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若葉は密生する細毛のため白っぽく見える。春にはほとんどの側芽が芽吹くので緑白色の小さな芽が対生に2列に並ぶ。 充実した側枝の先端に花序ができる。 |
芽吹き 上野原市 秋山 200408 |
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こぼれ話 「二十四節気」 「卯の花の匂う垣根に、ホトトギス早も来鳴きて、〜」 と唄う唱歌「夏は来ぬ」では、卯の花をはじめとした初夏の風物が登場する。この卯の花はもちろんウツギの花のことで、ウツギの花は横浜近郊では6月頃から咲き始める。6月はまだ梅雨の頃だが、6月半ばを過ぎると夏至になる。 春分、夏至、秋分、冬至は二十四節気という暦の中で定義されている名称である。太陽の周りを地球は周回しており、一周が1年である。この一周360°を24等分すると15°づつの円弧になるが、円弧の節目の一つ一つに名前をつけたのが二十四節気である。特に地球の北半球で日照が一番短くなるときを冬至、一番長くなるときを夏至とし、2つの中間点を春分、秋分とした。現在の二十四節気では春分の位置を起点0°としているので、夏至は90°秋分は180°冬至は270°の位置になる。 春夏秋冬の言葉以外に二十四節気には、雨水、啓蟄、穀雨、大暑、寒露、大雪などの季節を表す言葉がある。明治以前の旧暦では、暦の日付と季節にズレが生じるので農作業での暦(農事暦)として二十四節気が使われた。二十四節気よりも細かく季節を表した暦に72候がある。これも農作業には重要な暦だった。 明治以降の新暦(太陽暦)は、二十四節気とほとんど同じ仕組みの暦であり季節とのズレは無い。 それではいつからいつまでが夏なのか。二十四節気の名称からいえば、立夏(5月5日頃)から立秋(8月7日頃)の直前までとなるが、実感的には早すぎる。海外では夏至(6月21日頃)から秋分(9月22日頃)の直前とする国もあるようだ。「夏は来ぬ」の歌からもこの方が実感に近い。気象庁では6〜8月としている。分かりやすいのでこのホームページでも利用させていただている。 |