自然公園指導員日誌(2007年2月1日 大室山)

 

大室山は、2年前の秋に来て以来だ。手元の地図には、鐘撞山からの尾根のルートは載っていないが、登ることができると、話には聞いていた。そこで、日陰沢を神の川ヒュッテのすぐ先で横切り、大室山に至るルート、日陰沢新道を歩いたみた。
(例によって、樹の名前、写真をクリックすると、説明ページにジャンプします)

 

2月1日(木) 日陰橋 〜 鐘撞山尾根 〜 大室山 〜 犬越峠 〜 日陰橋

日陰橋の横には、日陰沢園地の名で、小さな公園があり、公衆トイレがある。このトイレが何やら立派で、ログハウスばりの建物に、水洗が自動のトイレと、自動で水の出る手洗いがある。登山者や釣り人にはありがたいが、何もここまで金をかけなくても、と来るたびに思ってしまう。が、冬の間は水が出ない。
日陰沢ぞいに少し入ると、神の川ヒュッテがある。これは普通の山小屋だ。泊まる場合は、予約が必要で、通常は無人。緊急時には、小さな避難小屋が近くにある。ヒュッテの横を通りすぎ、しばらく行くと、日陰沢新道の入り口がある。ボロく小さい標識が立っている。
日陰沢新道は、最近できたようで、元は林業用の作業道だったのだろう。大室山の中腹まで、スギヒノキの人工林の中を、急登する。林は整備はされているが、それなりに暗く、林床に緑は無く、振り返ってみても、眺望も全くない。ひたすら登るしかやることが無い。

左:神の川ヒュッテ  中:日陰沢新道の入り口  右:整備された人工林

人工林の中の急登が終わると、道は右の方へ、トラバースしはじめた。ほとんど水平か、ところによっては下ったりするので嫌になる。林業用の作業道が、何カ所かで枝分かれしている。この道は、下りで迷いやすいような気がする。どのルートを通っても、神の川ヒュッテに出るのかもしれないが。
そのうち落葉樹の林となり、鐘撞山からの尾根筋に出た。尾根筋は雪がかなり残っている。開けたところで、後ろを振り返ると、裏丹沢の裾野と道志川沿いの村々が見えた。この尾根は、神奈川県と山梨県の県境尾根になっている。

道志川青根付近 右側は黍殻山の裾野


左:蛭ヶ岳山頂(前回の、丹沢三ッ峰からとは真裏になる  右:鐘撞山〜大室山の尾根道

北東に向いた尾根筋には雪が多く、一度溶けた雪は、アイスバーンになり登りにくくなる。途中で6本アイゼンを付けた。尾根から日陰沢を見下ろすと、小さく猛禽の滑空が見えた。急いで双眼鏡を出したが、見失う。この尾根筋は、トウゴクミツバツツジサラサドウダンヤマツツジヒコサンヒメシャラが多かった。

左:雪の中のヒコサンヒメシャラ  右:大室山山頂 手前に三角点標識がある


広い大室山山頂を通りすぎ、しばらく行くと、白石峠と犬越峠への分岐点にでる。ここにはテーブルが二つ設置されている。一つのテーブルには、登山者がいてラーメンを食べていた。他のテーブルに腰を掛け、弁当にする。登山者は、厚木市に住んでいて、月に数回丹沢を歩いていると言う。

分岐点を、南に犬越峠へ下る。南向きの斜面のため、雪は無さそうだが、その分ぬかるんでいるだろう。

左:分岐点 ブナの立ち枯れが目立った  右:分岐点にあった謎の看板(「やのなにえ」と書いてある??)

こちらの尾根筋に来たら、ゴヨウツツジが目につきはじめた。4月〜5月に来ると、ツツジの競演が、きっと見事なのだろう。今は小さな冬芽が、春を待っている。


上左:ヒコサンヒメシャラ花殻  中:ムシカリ葉芽、花芽    右:アブラチャン花芽
下左:サラサドウダン冬芽    中:ヤマブドウ冬芽      右:スノキ冬芽

犬越峠から日陰橋への下り道が、北向きで、まさに日陰沢になっている。峠の鞍部には無かった雪が、すぐに現れ一部凍っている。先ほど、かたしてしまったアイゼンを、また出すのもおっくうで、そろりそろりと下りる。途中、犬越トンネルに抜ける道を分ける。以前、東海自然歩道を歩いたときに、エスケープしたルートである。自然歩道の割に、階段や木橋で、荒れているところがあった。
昔、戦国時代に、武田信玄が小田原を攻めるため、この谷を犬の先導で登り、峠を越えたと言われている。確かに、甲斐から小田原への近道である。信玄は馬に乗っていたのだろうけど、雑兵は歩いて、この犬越峠を越えたのだろう。その行軍を思い浮かべながら道を下りる。

左:雪の犬越路  右:東海自然歩道の看板 大分古くなっている                           

 

 

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