自然公園指導員日誌(2008年4月3日 菰釣山)

 

裏丹沢の縦走ルートは、よく整備されていて東海自然歩道のコースにもなっている。自然歩道の中でもっとも標高が高く、距離も長いため本格的なトレッキングコースでもある。10年近く前に、東海自然歩道のルートとして歩いた。途中のエスケープルートが無いため、かなりしんどい思いをしたが、表丹沢には無い静けさが良かった。姫次や大室山は神の川からアプローチができるので、その後に何度か歩いた。結局、西丹沢の畦ケ丸より先(西)に、その後入ったことがなかった。今回は道志川を逆上り、三ケ瀬川から菰釣山を歩いてみた。
(例によって、樹の名前、写真をクリックすると、説明ページにジャンプします)

 

4月3日(木) 道志の森キャンプ場 〜 城ヶ尾峠 〜 城ケ尾山 〜 菰釣山 〜 菰釣山避難小屋〜西沢林道 〜 道志の森キャンプ場

気持ちの良い林道歩きが終わると、水源の森の標識と、登山道入り口の案内と、クマに注意の黄色の看板があった。この間の林道脇には、20〜30年ほどのシラカバが生えていて、丹沢としてはちょっと違和感がある。多分植採かと思う。
登山道は、雑木林の中を登っていく。途中一カ所、沢に降りた後の登り口を見落とし、枯れ沢を歩いてしまったが、引き返すとはっきりした登山道が、反対側に続いていた。なぜ、見落としたのか分からない。
1時間もかからずに、城ケ尾峠に出た。意外と呆気なかった。道志川そのものを、かなり詰めてからの支流なので、尾根までが近いのだろう。少し休憩する。

左:林道の終点に水源の森の標識  中:何故かシラカバが  右:城ヶ尾峠

城ヶ尾峠を過ぎると、すぐに城ケ尾山山頂(1199m)になる。期待通りの、静かで明るい尾根筋が続いていた。

城ヶ尾峠からこれから歩く尾根筋 右は城ケ尾山山頂

尾根筋は、日が当たり暖かいが1100m前後にあり、そこの木々はまだ冬の装いのままだ。それでも冬芽が少し膨らんでいたり、チョウが飛んでいたり。春遠からじを感じさせてくれる点描をいくつか。

左:ヒオドシチョウ 中:ブナの花芽 右:クロモジの花芽

歩いているうちにあることに気がついた。
そう、シカの糞が見当たらないのだ。スズタケが、尾根筋を覆っていて、路がささやぶをぬっている。この景色は東丹沢ではほとんど見ることができない。この西丹沢の裏尾根も、畦ケ丸あたりまではスズタケの株はあっても、冬の葉はほとんど食べられている。何故か菰釣山の近くまでくると、シカの痕跡はぐっと少なくなる。登山道の近くで、1回だけシカの糞を見つけた。

左:肩の高さまでのササ藪の中を尾根路が続いている  右:わずかにあったシカの糞(踏まれて潰れている)

帰りに降りる分岐点が菰釣山避難小屋の近くにある。分岐点を通り越して、しばらく登ると菰釣山山頂についた。ここまで来ると、路の先に山中湖が見えてきた。言ってみれば甲斐の国との国ざかいみたいなものだ。春の霞にけぶっている富士山を眼前にする。裏西丹沢ならではの景色である。

菰釣山から西の峰を望む。左手に山中湖、中央に富士山を見る。送電線の鉄塔あたりが山伏峠への分岐になる。


左:菰釣山山頂 東海自然歩道の案内板がある   右:菰釣山避難小屋 2年くらい前にリフォームされたようだ

菰釣山の前から三ケ瀬川に降りていく路は北斜面で、ちょうど天気も曇ってしまった。本当の冬景色になってくる。

三ケ瀬川の林道は、持っている地図では東沢林道と西沢林道は別々のはずだが、実際にはぐるっとつながっているようだ。登山道から林道に出たところで、路は左右の両方に延びていた。東沢林道をたどってみる。ヤマネコヤナギやケヤマハンノキに混ざって、見慣れない木があった。冬芽を見るとキハダだった。丹沢では少ないキハダが、林道沿いに点々と生えていた。キハダに夢中になっていると、上空でピー・ピーエとさかんになく声がした。トビが3羽舞っていた。

左:ヤマネコヤナギ雄花 中:キハダ コルク層を剥くと黄色い内樹皮が見えてきた 右:キハダの冬芽
トビの飛翔(ピントはコンパクトカメラの限界でした)

 

 

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