ヌルデ

学名 Rhus javanica
別名 フシノキ
japanese Sumac(英)
(漢字不明) 分類 ウルシ科ウルシ属 (落葉小高木) 有毒植物
幹を傷つけると、白い漆液を出しヌルヌルするので。あるいは漆液を塗料(ヌテ)とするので。 原産・分布 北海道、本州、四国、九州、沖縄。台湾、中国、朝鮮、ヒマラヤ。
神奈川県 県内全域の山野に、普通に生える。
用途 特になし
山野に普通に生え、特に林縁部に多い。典型的な陽樹(明るい場所を好む樹)で、いわゆる先駆種である。後発のより大きい樹木が育って、陽が当たらなくなると枯れてしまう。そうでなくても寿命は数十年程度と長くはない。
写真は道路脇の法面の群生。一斉の開花後で結実し大きくなっている。
群生

丹沢
宮が瀬
050912
幹や枝は、斜上し、枝分かれは多くはなく太い。樹皮は灰褐色で、皮目が多い。
幹を傷つけると出る液は、普通はかぶれることは少ない。
若木幹

神奈川県
二宮町
040508
ヌルデ幹
材の綺麗な木の一つだと思う。心材が青味を帯びた淡灰色で辺材は白に近い淡褐色。ただし直ぐに樹脂がしみ出てきて汚れてしまう。 切り株

群馬県
みなかみ町
赤谷
040725
葉は互生し、奇数羽状複葉で小葉は3〜6対ある。小葉は長楕円形または卵状長楕円形で、無柄、縁は粗い鋸歯がある。小葉の間の葉軸に、翼があるのが本種の特徴。ただし翼の無い変異もままある。
若枝、葉軸、葉裏には褐色の毛を密生する。


神奈川県
二宮町
040508
ヌルデ葉
雌雄異株。8〜9月に、本年枝の先に円錐花序を付け、黄白色の小さな花を多数開く。

丹沢
水の木
040718
ヌルデ花
果実は、4mmほどの扁球形の核果。紫黄色あるいは白緑色で短毛を密生する。熟すと酸塩味のある白い粉に被われる。
信州ではかつて、これを煮て塩の代用にしたとされる。塩分は含まれていないので健康食かもしれない。試しに1粒口に入れると、確かに塩辛い味がした。


丹沢
丹沢湖
041016
ヌルデ実
ウルシの仲間は、紅葉時期が早くてきれい。 紅葉

群馬県
みなかみ町
赤谷
041010
ヌルデ紅葉
冬には実殻が梢に残るので目立つ。 冬の梢

群馬県
みなかみ町
赤谷
130113
若枝は褐色の皮目が多く、太く見つけやすい。葉痕は冬芽を囲んで、U字あるはV字形で葉柄内芽になる。冬芽は半球形で、黄褐色の軟毛が密生する。
枝の先端は果柄の取れた跡が残る。
冬芽

東京都
海の森
160312
柔らかな黄味がかったピンクの新芽が広がり始めた。食べれば美味しいかもしれない。この枝には果柄が残っている。 芽吹き

東京都
海の森
160312
ヌルデミミフシと呼ばれる。葉軸の翼に、アブラムシの1種が寄生してできる、袋状の虫こぶ。虫こぶを切ると、中にはアブラムシが、ぎっしりと入って集団生活をしている。
この袋状物質には、タンニンが50〜70%含まれており、染色に用いられる。この虫コブと酸化鉄で発色させた色を空五倍子色(うつぶしいろ)と呼ぶ。
夏の虫こぶいろいろ
葉虫こぶ

丹沢
水の木
040918
こぼれ話 「五倍子(フシ)」
ウルシの仲間だが、ウルシは採れない。代わりにいろいろ役立つ。虫こぶはその代表で、中国では「五倍子」と書いて、産業としてタンニンを大いに産出している。日本では「ゴバイシ」あるいは「フシ」と呼ぶ。医薬品、インクや染料の原料、革なめし用などいろいろ使われる。実などにタンニンを含むため、ヌルデミミフシの代用に使われた樹に、「フシ」の名のつくものがある。キブシヤシャブシなど。
「フシ」という言葉は、虫コブの名前にも汎用的に使われている。ヌルデミミフシのように、名前の最後に「フシ」を付けるのが標準になっている。もともとは、虫コブをフシと呼んでいたのが、このヌルデミミフシを経由して、タンニンがとれる樹の名の語尾に、「フシ」が付いたと思える。

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