シュンラン

学名 Cymbidium goeringii
別名 ホクロ(京都)、ハクリ(関東)、ジーババ(和歌山ほか)、ジジバナ、オキク(大阪、奈良)、ヤマランほか地方名は多い。
春蘭 分類 ラン科シュンラン属 (常緑多年草)
日本の山野の春咲くランの代表としてつけられた名。 APG分類 ラン科シュンラン属 (常緑多年草)
原産・分布 北海道、本州、四国、九州、小笠原。朝鮮、中国、台湾
神奈川県 全域に点在する。やや明るい乾燥気味の樹林内に生える。
花の時期 3月〜4月


尾根筋や丘陵など、やや乾燥した樹林の林床に生える。
早春に束生する葉の中央から、白い花茎を伸ばし花をつける。場合により、葉の中に埋もれて咲くためあまり目立たない。
主に種子で繁殖するため群生することはないが、繁殖力は強く、保護活動がおこなわれている里山では多くの株を見ることができる。盗掘は犯罪であり厳禁だ。
相模原市石砂山 100326


花茎は10〜20cmほどの高さになり、頂に花を1つつける。茎葉は無いが、数個の薄い鞘状鱗片に包まれる。
花は萼片は3個、花弁は側花弁2個、唇弁1個からなる。萼片と側花弁は薄い緑色、唇弁は白色で紅紫色の斑点がある。
この横から見た形が老人に見えるということで、ジジババなどの地方名がある。
花言葉「控えめな美、気品、飾らない心、清純」など。
相模原市石砂山 100326


左右と上に突き出たのが萼片、左右の斜め上方に側花弁が、垂れ下がった舌状の唇弁が見える。
地方名のホクロはこの赤い斑点を例えたもの。
★食★花と花茎を茹でて酢の物にする、さくら茶のように、花を塩漬けにしてラン茶として飲む、など。
里山で数が減っている昨今、食べるのは気が引ける。
千葉市小倉の森 150416


葉は線形で多数が根生する。固く、縁は細かい凹凸がありざらつく。花が無い時期はヤブラン(ユリ科)などとの区別は難しい。形状ではほとんど見分けがつかない。わずかではあるが相違点は以下か。
・縁のギザギザがシュンランの方が荒い
・並行脈がシュンランの方が明確
・葉先はヤブランがわずかに丸味をおびる
みなかみ町赤谷 090425


葉の先は鋭頭になり短く尖る。
千葉市小倉の森 190418


若い株。
芽出しは鞘状の苞に包まれている。線形の葉は向き合い、根元はお互いに抱き合う形で展葉する。
ヤブランが根元で抱き合わず、並行に向き合っているのとは異なる。
上野原市秋山 230413


果実は花と比べると大きく、真っ直ぐに立ち上がり30cm以上になる。
上野原市八重山 230403


常緑で毒性が無いため冬の草食動物の餌になりがち。
下の株の葉は無事だが、上の株はほとんど途中で噛み切られている。花は切り口より上で咲いているので、冬の間に食べられたことが分かる。
相模原市石砂山 100326


上の写真と同様、咲く花より低い位置で噛み切られている。シカあるいはノウサギの食害と思われる。初冬から春にかけ新しい葉を伸ばすが、場合により翌春は花が咲かなくなり、数年続くと株が枯れてしまう。
上野原市八重山 230403

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