植物の雄・雌

多くの植物は、雌しべに雄しべの花粉が付く授精で種子を作り繁殖する有性生殖である。

植物の雄性と雌性は花の中に現れ、その現れ方には種によりいくつかのパターンがある。
(1)一つの花の中に雄しべ、雌しべがありその両方が機能する花(両性花)を持つ種
(2)雄しべしか機能しない花(雄花)と、雌しべしか機能しない花(雌花)とが一つの木に咲く種
(3)雄花しか咲かない木(雄木)と、雌花しか咲かない木(雌木)とが別々に存在する種
の3パターンが大きな分類になる。
(1)を雌雄同株・雌雄同花
(2)を雌雄同株・雌雄異花
(3)を雌雄異株・雌雄異花
と呼ぶ。このホームページでは(1)を両性花、(2)を雌雄異花、(3)を雌雄異株と説明している。
動物では雌雄異株のパターンがほとんどなので、(1)や(2)は植物独特の形態といる。

多くの生物が有性生殖で繁殖するその理由は、異なる個体の遺伝子が混ざり合うことで遺伝子の多様性が保たれるためとされる。遺伝子の多様性は、長い年月での環境変化に適応したり、病気などの外的から身を守るために必要とされている。

それでは両性花、雌雄異花の種の繁殖において遺伝子の多様性は維持されているのだろうか。特に両性花では、一つの花の中あるいは同じ木の隣の花で受粉(隣花受粉)してしまえば同じ遺伝子同志の繁殖になってしまう。
両性花や雌雄異花の種は、遺伝子の多様性を保つための様々な仕組みを持っている。その一つが自家不和合性。同じ遺伝子同志では種子ができないという性質で、バラ科に多い。→ (例)ウメソメイヨシノ
別な仕組みとしては雄性、雌性の成熟するタイミングをズラす性質がある。多くの両性花には雄性期雌性期が存在し、同じ遺伝子同志での繁殖を避ける工夫をしている。 → (例)クサギコウヤボウキホオノキ
また、虫に花粉の媒介を託す植物は、花粉の表面を粘着性の物質で覆って花粉が直ぐには離れないようにしたり、虫が同じ株内に留まらないように同時に咲く花の数を調整したり、花の形を複雑にするなどの工夫をしているとする研究成果がある。