ハンノキ |
学名 | Alnus japonica | |
別名 | ハリノキ | ||
榛の木 | 分類 | カバノキ科ハンノキ属 (落葉高木) | |
開墾の意の古語「墾(はり)」がもとで、古名「榛の木(ハリノキ)」となった。 | 原産・分布 | 北海道、本州、四国、九州、沖縄。台湾、朝鮮、中国、ウスリー。 | |
神奈川県 | 東部のシイ・カシ帯に分布する。水辺や湿地に生える。 | ||
用途 | 建築・器具・家具材 | ||
水湿のある低地に、普通に生える。田の畦に植えて、稲木(稲を干すための竿を掛ける木)とされた。 根に根粒菌を持ち、肥料木としても有用である。 |
樹 厚木市 自然保全センター 080413 |
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樹皮は暗灰褐色で、浅い割れ目ができて剥げる。 | 幹 横浜市 舞岡公園 040215 |
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葉は互生し、葉身は卵状長楕円形。先は尖鋭頭、基部は広い楔型。縁には低い不整の鋸歯がある。表面は無毛でやや光沢がある。葉脈は裏面に隆起し、脈上に少し毛が残る。 ★食★ミドリシジミ |
葉 港区 自然教育園 040801 |
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雌雄同株、雌雄異花。 2〜3月に枝の先端に尾状の雄花序が2〜5個、下垂する。雌花序は、雄花序の直下の各葉腋に1個づつ、1〜5個付く。少し早いので、写真で雌花序は見づらい。 仲間のヤシャブシは雄花序に柄が無く、枝から直接斜上する。 |
花 港区 自然教育園 060302 |
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果実は毬果状の果穂になり、未熟なときは緑色をして堅い。秋に熟して暗褐色になり、扁平な卵状円形の種子がこぼれ出る。果穂は木質化して翌年まで残る。 | 若実 港区 自然教育園 040801 |
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冬芽は柄があり、長楕円形でやせている。2枚の托葉と葉柄が樹脂で固まっている。 | 冬芽 横浜市 港北区 050303 |
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ハンノキの根を堀りあげると、写真のような粒状の根粒菌が付いている。 | 根 長野県 黒姫 アファンの森 070429 |
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従来は、ビロード病と呼ばれていたらしい。フシダニの一種により、葉の表に作られる、毛せん状の虫コブ。柔毛(微突起)が密生し、白色、黄色、黄褐色になる。フシダニは柔毛の間に生息している、と言うが肉眼では見えない。 | 葉虫コブ 茨城県 つくば市 061019 |
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こぼれ話 「妖精の国への道」 ヨーロッパの先住民族ケルトの神話に、ハンノキ(種は不明)がよく登場する。4月の守護樹で、勇気・慈愛・寛容を表すとされ、ウェールズの守護神ブランの木とされている。ケルト民族も農耕民族であり、低地を好み、荒地を肥沃な土地に変える、肥料木であるハンノキを大切にしたようだ。 妖精(フェアリー)を生んだケルト文化であるが、ハンノキは妖精の国へ続く道を守る木ともされている。このハンノキを食樹としているミドリシジミの別名がゼフィルスである。ゼフィルスは、ギリシャ神話のゼフィロス(西風の神)を語源としていて、そよ風、微風のニュアンスもあり、一種の妖精のイメージなのだろう。妖精の国へ続く道に植えられたハンノキに、妖精ゼフィルスが舞っているイメージで、ミドリシジミの一群にその名がついたのかもしれない。 |