リュウノウギク

学名 Chrysanthemum japonicum
別名
竜脳菊 分類 キク科キク属 (多年草)
茎や葉の香りが竜脳樹から採る香料「竜脳」に似ていることからついた名。キクは栽培菊が中国から伝来し、漢音をほぼそのまま通用したもの。あるいは、香りが久しいことから久久(クク)としそれの変化ともされる。 原産・分布 本州(福島県以西)、四国、九州。(日本固有種)
神奈川県 全域に分布する。乾いた草原や岩場などに生える。
花の時期 10月〜11月


山野の林縁に生える。切り通しなどの崖地に多いとされる。
茎が細いため花の頃に立ち上がることは少なく、
崖から垂れ下がるように咲くことが多い。
丹沢三ヶ瀬川 181030


葉は互生し、カエデ類の葉のように浅く3裂する。
表裏ともに毛があり、表面は緑色、裏面は毛が密生するため白っぽい。
上野原市秋山 131021


花は秋の遅くに咲く。ノコンギクなどの終わりの頃になる。
蕾。花が開くまでは目立たない。
上野原市秋山 131021


茎の先端に1〜3個の白い頭状花を咲かせる。
舌状花は丸みを帯び、園芸での菊の花に近い。
花言葉 「無常の美、忠誠心」
上野原市秋山 131021


花はかすかに青味を帯びる。茎にも毛が密生している。
上野原市秋山 131021


果実の成熟も遅く年を越しても頭状に種子を付けている。
種子に冠毛は無いので風散布にはならない。
上野原市秋山 140103


キクの仲間は冬でも地上部をロゼット状にして残すものがある。
春に伸びはじめた芽。
上野原市秋山 150410

こぼれ話 「重陽の節供」
旧暦で9月9日は重陽の節供である。陰陽道で陽の数(奇数)の重なる日を、古くから年中行事(節供)として祝ってきた。1月(人日)3月(上巳)、5月(端午)、7月(七夕)で、最大の数が重なる日を9月(重陽)の節供とした。江戸時代には五節供として公式の祝日とされていた。
重陽の節供は、作物の豊作を感謝する秋の収穫祭の意味合いもあるが、別称「菊の節供」ともいわれる。菊はその香気から不老長寿の薬草と考えられていた。新暦の9月では菊には早いことや、夏休みが終わった直後の節供ということもあってか、五節供の中では一番廃れてしまっている。
中国の古い伝説に、9月9日に小高い丘に登り、茱萸を入れた袋を持ち、菊酒を飲むと禍を免れるとされ、重陽の宴の元となる。またインドで法華の術を受けた少年が、少年の姿のまま800年も長生きし菊慈童と呼ばれたという伝説がある。法華の秘術とは菊花酒である。このような中国からの伝説・風習から、日本でも平安時代には長寿を祈り宮中で観菊の宴が催された。日本酒の名に菊の字が多い理由の一つでもある。
現在の栽培菊はノジギクを元にした雑種とされる。花が美しいキク科キク属の種はノジギクを始めとして西日本に多い。東日本で普通に見ることのできるキク属の花はリュウノウギクである。旧暦の9月は、新暦では10月でリュウノウギクも盛りのころになる。

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