クマガイソウ

学名 Cypripedium japonicum
別名 (地)フグリバナ、チョウチンバナ
熊谷草 分類 ラン科アツモリソウ属 (多年草)
花の形を昔の武士が背負った母衣に見立て、源平合戦で戦った熊谷直実と平敦盛から、クマガイソウ、アツモリソウの名をつけた。 APG分類 ラン科アツモリソウ属 (多年草)
原産・分布 北海道(南部)、本州、四国、九州。朝鮮、中国、台湾。
神奈川県 丘陵〜山地の林床、草地など全域に分布。数は少ない。
花の時期 4月〜5月


丘陵地の林床に生える。特に竹林や杉林の林床に多いとされる。環境が良ければ根茎を長く伸ばして繁殖し、大きな群落をつくる。
葉の形状、花の形ともに独特で、一度見たら忘れられないし、大きな花はよく目立つ。そのためか環境省のレッドリストに載る絶滅危惧種である。
花の形からの地方名も多い。多くは陰嚢を連想しての名。
上野原市秋山 230422


春の芽出しは緑白色の苞(鞘状葉)に包まれ、折りたたまれた葉が伸びてくる。
上野原市秋山 200414


葉の展開。
上野原市秋山 200424


2枚の葉は抱き合う状態から、傘を広げるように展葉する。
展葉当初から花茎と蕾は用意されておりうなだれている。花茎には1枚の苞葉がつく。
上野原市秋山 230416


開ききったところ。葉は2枚で向き合って近いところで互生する。扇状円形で縦ジワの目立つ。
上野原市秋山 230416


花茎の先に大きな花が1つつく。この独特の形を母衣に見立てた。袋状の花弁が唇弁、横に張り出した薄緑色の2枚が側花弁、上に突き出ているのが背萼片、唇弁の後ろにあるのが合着した側萼片である。
春先の虫を集める虫媒花ではあるが蜜を持たない。微かに腐敗臭のような匂いと、肉塊のような唇弁でハエなどを集めているのだろうか。
花言葉「みかけだおし、気まぐれな美人、闘志」など。
上野原市秋山 230422


唇弁の左右に突き出た緑白色が側花弁で基部に紫色の斑紋がある。上下に突き出た緑白色は萼片で、下向きに唇弁の後ろにあるのは側萼片2枚が合着したもの。
唇弁の中は袋状で内部に紫色の斑紋がある。正面中央の穴は内側に向かうことで弁の働きをしていて、虫は入ることはできるが出られない。内壁を辿って上部の隙間から出る際に、葯(薄黄色の三角形)に触れて花粉を身体につけてくることになる。

上野原市秋山 230425


花の後。
萼片と苞葉との間は、花柄に見えるが子房になる。
上野原市秋山 190517

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