自然公園指導員日誌(2007年1月7日 丹沢三ッ峰)

 

前日に、冬の低気圧が日本を横切り、日本中に雨を降らせた。その結果、強い冬型の気圧配置になる、との予報で、丹沢に入ることにした。宮ケ瀬から丹沢山に至る尾根筋を歩いてみたかった。車のデポの都合、青宇治橋から高畑山に上がる道を選んだ。この道は、手元の昭文社の地図では、登山道ではなく、小道の分類になっていた。果たして今でも通れるのか心配だった。
用心して早め(と言っても5時)に家を出たら、6時30分には塩水橋に着いてしまった。まだあたりは薄暗い。少休止をしてから、支度をして歩きはじめた。

(例によって、樹の名前、写真をクリックすると、説明ページにジャンプします)

 

1月7日(日) 青宇治橋〜本間ノ頭〜円山木ノ頭〜太礼ノ頭〜丹沢山〜天王寺尾根〜塩水橋 

県道が大きく曲がるところに、高畑山への登山道の入り口があった。入り口の一角はゴミだらけ。これなら道は健在そうだ。この尾根筋は、ヤマビルで有名らしい。入り口にはヤマビルに注意の看板がある。小さな沢筋と尾根筋とを、からめて登っていく内に、背中から日が登ってきた。日の出の写真を撮ろうとしたが、梢の枝がいつも邪魔で、いいアングルが無い。その内に太陽は、登りきってしまい、写真には納まらなくなる。代わりに月が、目の前にあった。

左:高畑山への入り口  中:途中で朝日があたりはじめる  右:山に沈む月


無事に昭文社の小道を登り切り、尾根に上がったところに、無名の広い頂きがあった。アブラチャンの株がたくさん生えている。











アブラチャンの株断ちの中に、ラクダのような木があった。

本間ノ頭に至る鞍部に、金冷しと名付けられたやせ尾根がある。要は、下を見るとゾッとする、あるいは谷間を吹き上がった風が、ズボンの中を冷やす、と言った主旨の名前であり、丹沢には何カ所かある。下の写真の丸木橋も、危なそうだが、実際にはそれほど怖くない。


尾根道は、本間の頭までの登となり、振り返ると宮ケ瀬湖が見えてきた。この頃はまだ、冬の日差しの明るい、雑木林が続いていた。そのうち、標高が1000mを超えたあたりから、残雪が出てきて、本間ノ頭は雪に覆われていた。

左:宮ケ瀬湖 虹の大橋  中:雑木林  右:本間ノ頭(丹沢三ツ峰東峰)山頂

この尾根筋を歩いていると、眺望が開けたところが少ない。冬山と言え、いつも梢が引っかかってきていた。やっと南側が開けたところがあり、写真を撮る。

右の頂きは大山、左半分は相模湾、その中に江ノ島が見える。

歩いていると気づくが、本間ノ頭と円山木ノ頭の間に、無名の頭があり、本当は丹沢四ツ峰である。この四つの頭を越えはじめるころから、ものすごい北風が吹きはじめた。ゴーゴーと音をさせながら、斜面を駆け上がってきた風が、尾根から空に飛び出すかのように、吹き抜けていく。しばし物陰に入り、風の弱まるのを待つ。
各頭の頂きは、標識が立つだけで、眺望が良いと言うわけでもなく、少し物足りない気がしないでもない。

左:円山木ノ頭(丹沢三ツ峰中峰)山頂  右:太礼ノ頭(丹沢三ツ峰西峰)山頂

雪と強風で、足が緊張し、いたずらに疲れたように感じる。丹沢山が近づくと、その向こうの蛭ヶ岳が近くに見え、山頂の小屋が、強風の中で頂きにへばりついていた。

雪の蛭ヶ岳山頂

もう一つのピークを越えてから、丹沢山と思っていたら、突然堂平ルートとの分岐点に出た。強風で、丹沢山の山頂まで行けるか心配していたが、この辺で風が穏やかになってきた。ここまで来れば、みやま山荘で弁当を食べない手はない。あと少し登って、山荘に入る。
山荘にはご主人がいた。いつものビールを頂きながら、居合わせた登山客らと話をする。
ご夫婦は、福島から登りに来たと言う。大倉から塔ヶ岳にあがり、今日、蛭ヶ岳まで往復し、尊仏山荘に泊まるとのこと。そう言えば、以前にも東北から登りに来ている人がいて、少し驚いた記憶がある。山荘の主人の話では、雪の多い地方では、冬に登れる山が無く、一番近くてそれなりに魅力のある山が、この丹沢山塊なのだそうだ。登山者数では日本で一番ではないかと言う。
外は急に雲が湧きだしていた。細かい雪もちらつく。

左:丹沢山山頂の標識 晴れていれば富士山が見える   右:みやま山荘

堂平へ降りる途中のガレ場では、東京方面の眺望が、いつものことだがすばらしい。少し靄がかかっているのと、雲の有無で、地上が斑模様になっているので、写真は分かりにくいかもしれない。

堂平沢の源頭のガレ場から、東を望む。

天王寺尾根を歩いていると、朝登ってきた三ツ峰とその尾根筋が、いつも左手に見えている。
写真の一番左手が、太礼ノ頭、少し谷間があって円山木ノ頭、その隣は無名の頭で、一番右が本間ノ頭。つまり、一見仲良く並んでいる、3つの峰がそれかと思うが、間違い。僕も初めは間違えていた。

堂平ルートは、上の方に雪が残り、一部凍っているように見えた。天王寺尾根ルートは、ほとんど雪が無く、アイゼンなど不要だった。

 

 

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