県民の森 大磯・高麗山

江戸時代、東海道を京に向けて歩き始め、馬入川を渡ると目の前に小高い山が見えた。
平塚宿の宿屋の女将が、こう言って客を引き止めたそうだ。
「お客さん、これからあの山を越えるのは大変だよ。今日はここに泊まっておいき。」
その目の前の山のことを「だまかし山」と言ったとか。


広重の平塚宿(黒い山が高麗山、後ろに富士山が見える)

東海道は高麗山に登らずに、海沿いに続く。
女将を信じて平塚宿に泊まってしまった旅人は、翌日苦笑いをしたことだろう。

2007年4月6日に一人で、5月3日に友人たちとその高麗山を歩いた。
現代は、東海道線に乗り平塚をすぎると、右手におむすびのような山がいくつか連なるのが見える。
高麗山は丹沢から南へつらなる渋沢丘陵、大磯丘陵の東端に位置し、これより東は相模川の河口平野が広がる。
標高は168mあり、西へつながる尾根筋に八俵山、浅間山、湘南平がある。

高麗山には、その名の通り朝鮮半島にまつわる話がいろいろある。
歴史的に見れば、唐、新羅の連合軍に滅ぼされた高句麗の末裔が、飛鳥の時代に大磯付近に上陸し、
付近を開拓して住み着いたための地名と言われる。
今の湘南平はその昔、タタラ山と呼ばれていた、つまり製鉄も行われていたと言う説もある。
江戸時代には山内に堂塔が立ち繁栄したが、明治の廃仏毀釈で今の高来神社のみが残った。

 高麗山の自然は豊かで、自然公園の指定ではないが、いろいろな保護指定がされている。
・文化財保護条例に基づく神奈川県の天然記念物
・森林法に基づく航行目標保安林(これは珍しい)
・都市計画法における風致公園
その山腹の植生は、基本的には沿海地の照葉樹の自然林を構成していて、
本州では、大磯丘陵から伊豆半島だけに分布するモクレイシが、数多く自生している。

高麗山の紹介は簡単にはすまないので、テーマごとに写真を中心にまとめる予定です。
相互にオーバーラップしたり、分類が曖昧だったりします。
適当に楽しんでください。

2007年4月6日 花水橋より 

樹木 歩く 歴史

神奈川の森・公園Top