センダン | 学名 | Melia azedarach. var. japonica. |
別名 | アフチ(古名)、トウヘンボク 棟(中) |
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栴檀 | 分類 | センダン科センダン属 (落葉高木) |
実のなる様子から、三井寺の鬼子母神祭の千団子に見立てたとの説(深津)や、梵語からの変化とする説などがある。古名のアフチは「淡い藤」から。 | 原産・分布 | 本州(伊豆半島以西)、四国、九州、沖縄。朝鮮南部、中国、台湾。 |
神奈川県 | 本州は栽培の逸出と言われる。山地を除き分布する。 | |
用途 | 庭木、公園・街路樹、建築・家具・器具・楽器材 | |
暖地の海岸近くに自生する。本来の自生は四国までとされるが、公園などに植えられたものの逸出、野生化で関東地方〜宮城でも自生が見られる。 樹高は30mにも達するが、普通は10〜15mくらい。花の時期は、新緑とともに樹の梢にもやがかかったように紫色の花が咲く。 「栴檀は双葉より芳し」とする栴檀は本来の中国名で、日本で言う白檀のこと。 |
樹(梢) 横浜市 港北区 110522 |
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樹皮は紫黒褐色で縦に裂ける。裂け方は、針葉樹のそれのように緻密である。 ★薬効★駆虫薬(生薬名「苦棟皮(くれんぴ)」 根皮および幹皮を干したもの)。駆虫薬の中では副作用が少なかった。 |
幹 立川市 昭和公園 050306 |
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春の新芽は他の羽状複葉の木タラノキやカラスザンショウなどのそれとも似る。 | 新芽 神奈川県 二宮町 100425 |
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葉は互生し、2〜3回羽状複葉。小葉は卵形または卵状長楕円形で、縁は鈍い鋸歯がある。 複葉の全体は大きいが、小葉は小さいので全体としては柔らかい感じがする。 |
葉 横浜市 神奈川区 (植栽) 030714 |
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花は5〜6月に、今年の枝の基のほうの葉腋から複集散花序を出す。花は小さく2cmほど。萼片、花弁は5枚、雄しべは紫色で花糸が合生し筒状になる。 一つ一つは小さい花だが、よく見ると独特の形をしているので分かりやすい。古名「アフチ」から、樗色(おうちいろ)として親しまれている。 花言葉「意見の相違」 |
花 横浜市 港北区 110522 |
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果実は長楕円形の核果で、10月頃に淡黄色に熟す。葉が落ちた後も残り目立つ。 ★食★ヒヨドリ、ムクドリ、カラス ★薬効★ひび、しもやけ(生薬名「苦棟子」)。民間療法では果肉をそのまま擦り込んだり、煎じてつける。 |
若実 横浜市 神奈川区 (植栽) 030714 |
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果実は熟すと白〜淡黄色になる。種子は灰白色で堅く、10本の綾があるため断面は星型になる。 | 果実と種子(下) 横浜市 神奈川区 110126 |
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一年枝は太く、小さな皮目が多い。葉痕は大きく突き出て、独特の形になる。冬芽はほぼ球形で、灰褐色の毛が密生する。 | 冬芽 神奈川県 二宮町 050227 |
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こぼれ話 「獄門台」 明治36年刊行の「大日本有用樹木効用編」に「この材は古来罪人を梟首するに用いし故にこの材を用ゆることを嫌う人多し。罪人の首をこの木に掛けし事は源平盛衰記などにあり」としている。斬首処刑された首を晒す、いわゆる獄門台の材として用いられたそうである。そこからセンダンを庭に植えるのを嫌う人もいるという。 なぜそのような習慣がうまれたかについては、南方熊楠が新聞に連載した「紀州田辺の生物」という随筆のなかで説明している。「日本では梟首に使われて悪木とされるが、インドではこの木に邪気を払う力があると信じられている。この俗信が中国を経て日本に伝わり獄門台に使われ始めたのだ」という。 センダンの樹皮は駆虫薬としても使われることもあるので、晒された生首にたかる虫を追い払う効用もあったのかもしれない。ただ元々は南方の木であり、江戸時代以前に京、大阪や江戸で大きな材が採れたのか疑問に思う。 右の絵は「徳川幕府刑事図譜」にある獄門の図。首の置いてある台が獄門台で、大きさやその作り方が決まっていたようだ。徳川幕府刑事図譜は明治26年に刊行された本で、徳川時代の刑政を批判するために作られた。同図譜はカラー版もあるが生々しい。本絵図は白黒絵となっている。さらし場には斬首の前の引き回しの時に使用された道具や捨札、幟(のぼり)が立てられている。 |