あばたもえくぼ(樹皮につくもの)
2008年2月19日
2008年3月10日
2009年4月
樹木の写真を撮り、整理していると、
本来のその木の性質や形態とは関係ないのだけれど、なぜか捨てがたい写真がある。
その一つが樹皮に付いているもの、あるいは跡だ。
冬の樹木ウォッチングで、「あれー、何だろ、これ」と思うことがよくある。
今回は系統だてず(もともと無理なので)、思いつくままに写真で紹介します。
(説明に誤りがありましたらお知らせください。)
初めは、樹皮に貼りつく植物のような、植物でないようなものから。
あきらかにキノコと分かるものは除外しました。
@こうやく病(の一種) Aつる植物とコケと地衣類と
B地衣類(ムカデゴケ?) Cシノブシダ???
木に着く植物にはシダ、コケ、地衣類、キノコ、カビなどがある。
キノコ、カビは分類上、菌類(糸状菌)と呼ばれ、弱った樹木や枯れた木に寄生し、セルロース等を分解吸収する。
食材となるキノコも、樹木から見れば病気である。自然界の中では分解者と呼ばれる。
@コウヤク病はカビの仲間で、写真のようになると樹木を弱らせる。
ABCその他のシダ、コケ、地衣類は、通常は葉緑素を持っているので、岩の上でも生育できる。
樹木に寄生している訳ではない。
次は、樹皮にまとわりつく生き物たちが残した物
Dヒロヘリアオイラガ(毒蛾)の繭(脱け殻) Eイラガ(毒蛾)の繭
Fオビカレハ?の卵塊
DEヒロヘリアオイラガはカエデ類の木に多い。イラガは小枝に繭を作る。
Fオビカレハは、やはり小枝に帯状に産卵するが、写真はなぜかシュロの皮に産卵し、皮が剥がれてしまった。
いろいろな生き物が樹木を食べる。
その食べ跡もいろいろ。
Gコスカシバの幼虫の食痕 Hゴマフボクトウの幼虫の食痕(地際に多い)
Iルリカミキリの幼虫の食痕 Jニホンジカの食痕
Kニホンザルの食痕 Lこれも、多分ニホンサルがかじった跡?
GHコスカシバとゴマフボクトウはやはり蛾の仲間で、幼虫は樹幹に穿孔して、材を食べる。
コスカシバはバラ科に多く、食痕は食べ滓の他にゼリー状の樹脂が溜まる。
Iルリカミキリの幼虫も穿孔性であるが、食痕には繊維状の食べ滓が溜まる。
哺乳類で樹皮をかじるものは野ネズミ、野ウサギ、ニホンザル、ニホンジカなどがいる。
JKLシカは下から歯を入れ樹皮を剥ぎ取る。サルはトウモロコシを食べるように、樹皮をかじり取るようだ。
山の樹木には、山の動物達の生活の痕跡が残る。
動物による、食痕以外のフィールドサイン
Mシロスジカミキリの産卵痕 N枯れ木に残る穴は、キツツキ類の食事の跡
Oブナの樹のクマの爪痕 Pクマ剥ぎ
Mシロスジカミキリは産卵床として、横方向に点々と噛み跡をつけるので、その跡がいつまでも残っている。
N枯れ木や枯れ枝の中にはいろいろな虫がいて、それをキツツキが食べる。
彼らはどうやって、虫のありかをさぐっているのだろうか。それが分かれば樹木保護にも役立つのだが。
Oツキノワグマは、樹皮は食べないが、木の実を食べるために木に登る。ブナの木の爪痕はよく目立つ。
Pクマは興奮すると、相手かまわず爪を立てるようだ。クマ剥ぎと言う。
1本の幹の両側から、数センチの深さのキズもあった。人間がこれをやられたら、ひとたまりもないのだろう。
(09年追記)その後、丹沢でこれに類する傷は、ほとんどがクマの爪痕ではなく、シカの角こすり痕であると聞いた。
クマの剥皮の場合は、高さが2〜3mにまで達するそうで、1.5m以下はシカの可能性が高い。
シカの雄が発情期に、角こすりをすることでマーキング(ナワバリ行動)すると言われる。
これはどこかで見たことがあるぞ、と言うものがあったでしょうか。
冬の山歩きでは樹皮がよく見えます。いろいろ探して新発見をしてみてください。
また木の声を聞くことができて、友達になれるかもしれません。