マムシグサ

学名 Arisaema serratum
別名 ムラサキマムシグサ
蝮草 分類 サトイモ科テンナンショウ属 (多年草) 有毒植物
茎(葉柄の鞘部で偽茎)の模様がまだらで、マムシに似るところからついた名。 APG分類 サトイモ科テンナンショウ属 (多年草)
原産・分布 本州(関東以西)、四国、九州、沖縄
神奈川県 広く分布。シイ・カシ帯からブナ帯の林縁、林床に生える。
花の時期 5月〜6月


仏炎苞は紫色と緑色のタイプがある。写真は緑色のタイプ(カントウマムシグサ)。
開花と展葉がほぼ同時で花と葉の高さもほぼ同じ。
独特の形状に伴う名前については、サトイモ科を参照。
仲間でよく似たミミガタテンナンショウと比べると茎(偽茎)が長く、上部に葉がつくためスッキリした感がある。
横浜市緑区四季の森公園 090428


種子繁殖と栄養繁殖で殖える。
写真は5株が集まっていた。左端の株は株元から小さな株が出ていて小さな果実をつけている。親球茎の近くに子球茎をつくることで子株ができる。野菜のサトイモと同じ。
テンナンショウの仲間の中でもマムシグサは、形体的は変化が多く同定が難しいとされる。この5株も葉の大きさや形状に微妙な違いがある。また、写真の地域はシカの食害が恒常的なため、シカの食べない草本だけが繁殖している。
上野原市秋山 230802


茎のように見えるが、根生葉の葉柄が鞘状になり2枚がお互いを抱くように丸くなっている。偽茎と呼ばれる。従って葉柄の長さは30〜40cmもある。この偽茎の中に花茎を伸ばし先端に花をつける。
また、この偽茎の茶褐色の斑をマムシの模様に見立てた名。
上野原市和見 230801


葉は2枚で鳥足状複葉になる。小葉は7〜15枚で仲間の中では多い。
写真右側(仏炎苞の右)が大きい葉で、渦を巻きながら小葉14枚がある。
仏炎苞の左側の葉はまだ完全に展葉していない。
厚木市七沢森林公園 110429


葉が細長いタイプの株。
上野原市秋山 230802


仏像の後ろの光背に見立てた仏炎苞は淡緑色から淡紫色。仏炎苞の中に雌雄別の肉穂花序があり、花序の先が伸びた付属体が開口部から見える。
花言葉 「壮大」
横浜市緑区四季の森公園 090428


雌雄異株
テンナンショウ属は若い時点では雄株、球茎が充実してくると雌株になる。
ハエなどの虫は、仏炎苞の中に入り花粉を媒介する。仏炎苞の上の入口から虫は入るが、ここから出るのは難しい。雄花は、虫が次に雌花に行ってくれないと困るので、筒状の下部に脱出口が用意されている。
雌花にはこの脱出口が無く、雌花の中は虫の死骸が多い。
群馬県みなかみ町赤谷 120602


雌雄異株
未開花の雄花。付属体の基部にある葯がまだ閉じている。

厚木市七沢森林公園 110429


受粉後の雌花の花序。仏炎苞を取り除いたところ。花被が無く子房がすきまなく密集している。受粉後なので柱頭は痕だけ、子房もやや膨らんでいる。、
横浜市港北区篠原園地 100519


秋には赤く熟した果穂だけが長い茎の先に残るので目立つ。
種子散布者へのアピールだが、この果穂も鳥などに啄ばまれた形跡は見当たらなかった。美味しくないことが見破られている。
上野原市赤倉山 171106


赤い液果
上野原市赤倉山 171106


種子は3〜5mmの扁平な球形で、大きさは不揃い。1つの液果の中に複数個の種子が入る。
上野原市秋山 240120

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