樹げむ庵にキンモクセイの花が咲いている。
昨年、庭師の師匠のTさんが持ってきてくれた大きなキンモクセイだ。
甘い香りを楽しんでいるうち、これをお酒にしたくなった。
薬酒の本を見ると新鮮な花を使え、落ちた花ではダメとある。
これは手間がかかる。半日かけてキンモクセイの花を集めた。
半日(3時間くらいかな?)でやっと漬けられるくらいの量(ざる半分)になった。
小さい花なので大変なのだ。移植2年目の花がほぼ丸坊主になった。
花をむしり採っていた手に鼻をつけると、意外なことにキンモクセイの香りがしない。
むしり採った花の山の香りもあまりない。
顔を上げて遠くの香りをかぐと、風の加減でキンモクセイの甘い香りが沸き立つ。
不思議な経験である。
ゴミを取り除いてから、ともかく花を漬け込んでみた。
花だけで砂糖は0(ゼロ)、ホワイトリカー1.8リットル。
素晴らしい色になってきた。ワインレッドというか、光に透かした色が良い。
ワクワクしながら蓋を空けてみる。
何という甘い香り。まったりとした香りだけでも何かトロンとしたまろやかさを感じた。
香りを表現するボキャブラリが不足して例えようが無い。
ただし味見をしてみると、まだまだ硬いホワイトリカーの味である。
ほぼ3カ月が経過した。
香りは以前と同様、芳醇な甘い香り。味は飲みやすくはなったがまだ硬さがある。
残念なのは他のリキュールと同様、色が褐色味を帯びてきたことだ。