キリ

学名 Paulownia tomentosa
別名  
分類 ゴマノハグサ科 or ノウゼンカズラ科キリ属 (落葉高木)
伐ることで、若木が早く出て成長する、ということで切りの木、キリとなった。
学名の属名Paulowniaは、シーボルトが当時のオランダ王妃に献名した名。
原産・分布 原産地不明。日本でも古くから栽培されており、各地で野生化。
神奈川県 丹沢、箱根の山中を除き、広く分布する。自生は無い。
用途 庭木、建築・家具・器具・楽器材、下駄、薪炭
成長の早い木。写真は実生で生え、3〜4年の木。若い木はその成長を支えるために葉が大きい。大きさを実感するためにKさんに一緒に写ってもらった。
この木は3年後にすでに花が咲き、2010年には樹高がすでに10mほどある大木になっている。
先駆植物としての特徴をそなえてはいるが、母樹が多くはないせいか、どこにでも生えてくるわけではない。
若い樹

神奈川県
二宮町
060821
樹皮は灰褐色で、多くの皮目がある。
材は軽くて狂いが少なく、湿気を通さないので、古くから栽培され、家具・器具材として貴ばれた。。
娘が生まれたら、桐の苗木を植え、嫁入りするときには、その木でタンスを作ったと言う。


大阪府
交野市
私市
021014
葉は対生で、長い葉柄があり、葉身は広卵形でほぼ全縁、あるいは3〜5裂するものもある。長さ10〜20cmで大型、表面には短毛が、裏面には星状毛を密生する。 新葉

横浜市
鶴見区
せせらぎ緑道
030417
花は5月に、枝先に大きな円錐花序を作って多数付く。花冠は紫色で長さ5〜6cm、先端は5裂し、外面に毛がある。

神奈川県
二宮町
050429
刮ハは卵形。熟すと2裂する。 若実

藤沢市
六会
050623
一つの刮ハに、小さな種子が多数入っている。種子には膜質の翼があり、風で飛ばされる。 種子

藤沢市
六会
061010
秋にはすでに、翌年の花芽が作られている。枝先には、今年の実と来年の花芽が混在する。 花芽

藤沢市
六会
051010
冬の梢。葉が落ちると、翌春の蕾(先端部)と、前年の朔果の残骸がよく分かる。

横浜市
鶴見区
030203
一年枝は非常に太く、皮目が目立つ。枝先は、枯れて細くなっていることが多い。冬芽は、枝の太さに比べて小さく、イボ状。かわりに葉痕が大きい。

葉痕
枝先

神奈川県
二宮町
070113
こぼれ話 「桐花紋」
キリは伝統的に神聖な木とされ、その葉と花をデザインした紋が知られる。中でも右写真のような、花序に付く花の数が5・7・5の「五七の桐」と呼ばれる紋が有名。貸衣装屋での紋付き服は「五三の桐」が多いとされる。
デザインは、上の花芽の写真のように、枝の先に輪生する大きな葉と、頂生する花を紋様化したもの。
足利尊氏や豊臣秀吉などの天下人が好んで用いたため、政権担当者の紋章と言う認識が広まり、日本国政府も内閣総理大臣の紋章として利用している。政府の発行する国際的な書類としてのビザやパスポートなどにも、ワンポイントマークのようにして使われている。また、国際的な場での首相の記者会見などでは、演台に桐花紋が飾られることがある。
また仏教界では曹洞宗が五七桐紋を宗紋としている。

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