炭窯作り(4)


2005年12月3日〜5日
12月のAKAYAは、待ちに待った炭窯への火入れとなった。
今回は、一度火を入れたら4〜5日は様子を見ないとならない、という笛木先生の指示で、赤谷の日以降を含め、交替制で当番を決めていた。僕は残念ながら、月曜日から仕事のため、4日には戻らねばならない。ところが炭材、炭窯ともに3ヶ月も寝かせて置いたために、火の回りは良く、当番の人も翌、月曜日には解放されたようだ。
赤谷の日は川端の報告、以降は鈴木氏の報告になる。

炭窯隊 報告

赤谷の日 火入れ

(1日目)集合後、念のため窯の口まわりの隙間を粘土で固め、窯口に薪と着火用のスギ枯れ葉を置きます。着火用の薪は、5月に相俣ダムで頂いてきた流木です。早速着火。時刻は11時30分。スギ枯れ葉はすぐにパチパチとハゼながら煙を出し、細い薪へと火が移っていきました。
着火の準備 着火
笛木先生は、薪をどんどんくべていきます。煙突からは煙がフワフワと出始めました。窯の口の空気の流れを良くし、熱気が窯の中に入っていくようにするため に、トタンの波板をかぶせます。窯と炭材は、3カ月間置いてあったためか、火の付きが良いようです。新しい炭材の場合には、この薪による炭材への着火が大 変だとか。お昼も過ぎた頃、笛木先生は火の具合を見て安心し、昼食に。残った炭窯班が、薪をくべながら、窯の前で弁当を食べていると、窯の口の石がバ ン!、バン!と大きな音を立てたはじけます。これには皆びっくり。おにぎりをくわえながら後ずさりしてしまいました。
火の様子をうかがう笛木師匠トタンで熱を中に入りやすく師匠と弟子達はじけた石
↑左:火と煙の様子を読む笛木師匠、中左:トタンをつけます、中右:師匠の話に感心するばかりの弟子たち、右:われた石の破片

弁当を食べ終わったころ、それまでフワフワ程度にしか出ていなかった、煙突の煙が、突然モクモクと真っ白に、吹き出し始めました。そこに見計らったよう に、笛木先生と林先生が登場。窯口の火の具合を確認すると、「もうよし、薪の火を落とそう」。かぶせてあった波板をはずし、それをトイ代わりに、燃えてい る薪を横に取り出していきます。
煙を確認する弟子薪をかき出します

それから後、窯口を閉じるまでが忙しいこと。笛木先生は、まず窯口の前のスペースに、水を撒きます。そこに、ドロドロにした粘土を盛り上げ、半分に割れ たブロック、通常のブロックを積み上げます。窯口からは、炎がもれ出すくらいの熱気です。粘土を練る人、ブロックを積む人、隙間を埋める人が交錯しなが ら、窯の蓋を築き上げました。時刻は14時。一番下、半分に割れたブロックの間が、空気取り入れ口です。
フタの準備フタの準備フタの準備
フタ完成空気の取り入れ口からみた窯の中上段:ブロックと粘土でフタを作り上げます
下段:空気の取り入れ口だけ残してフタが完成

 窯口が蓋をされ、小さな空気取り入れ口からだけの空気でも、出てくる煙はモウモウとすごい勢いです。これは、つまり窯には未だ、無数の隙間があるという ことなのか。煙は真っ白で、手をかざすと湿っぽく、水蒸気であることが分かります。この煙を冷やすと木酢液が取れるのだよ、と言う笛木先生の話を聞きま す。そして、1時間もすると、蒸し焼きにするために、空気取り入れ口をさらに狭め、煙突も穴を小さくします。外は雪が降り始めました。

↑左:(12月3日 14時10分)、 中:(12月3日 15時20分)、 右:雪が降り始めました

(2日目)一晩中、炭材は蒸し焼きにされ続けることで、水やもろもろの不純物が、蒸気となって取り除かれ、純粋な炭素だけが凝縮していきます。つまり、 「炭」が完成に近づくと、その煙に含まれるものは無くなり、透明になります。朝の10時30分の煙、大分白みが無くなりましたが、まだ湿っぽさはありまし た。
↑左:(12月4日 10時30分)、 右(12月4日 11時30分)

窯やその蓋は、乾燥するとヒビ割れてきます。トロトロに溶いた粘土を、蓋の割れ目に流し込み、隙間を無くします。大きな窯 の天井は、最高の温度のときに、熱で5cmくらい盛り上がるとか。窯の天井のヒビにはセメンを混ぜた粘土を流し込みます。昼頃になると、煙はかなり透明に なってきました。だけどまだ湿気ています。まだ1日くらいは蒸し焼きを続けます。というところで後は鈴木さんに託すことになりました。(川端)

赤谷の日以降(12/4夕〜5)の炭窯当番

4日夕方から5日までの炭窯当番は、赤谷センター島内さん、神林さん、NACS-J茅野さん、サポーターの鈴木4名が担当 しました。4日夕方からは、笛木先生の指示に従い、炭窯から煙の出ている箇所をこまめに修復しました。といっても夜10時頃まで3回程修復し、5日朝を迎 えました。 炭窯の修復

(↓左)煙が出ているところがあれば用意してある粘土で埋めます
(↓右)煙で釜の中の様子を判断します。

粘土で埋める作業煙の様子を手で確認 5日朝は、7時30分に空気の取り入れ口を前日昼と同程度まで広げる作業をしているところに笛木先生が登場。笛木先生は、この時点で煙突からの煙が青白く なるのは午後3時頃になるだろうと予想を立て、「煙突からの煙が青白くなると炭窯内部では炭化が完了し、煙はガスに代わり煙突にマッチを近づけて約7〜8 秒後にマッチに火が点くようになったら、空気の取り入れ口を完全に塞ぐべし!!」と言い残してご自宅へ。
 11時頃炭窯当番全員で何となく炭窯の様子を見に行くと煙突からの煙が極端に少なくなっていて、煙も青白くなっていたので、試しにマッチを煙突に近づけ るとなんと10秒程でマッチに火が点きました。皆で「わーい、マッチに火が点いた。」といっているところに笛木先生がジャストタイミングで登場。  さっそく空気の取り入れ口を完全に塞ぎました。このあと1時間後に煙突を取り外し、煙突穴を塞げばメイン作業は終了とのお言葉を頂きました。空気の取り 入れ口を完全密封し、1時間後に煙突穴を塞ぐ理由は、空気の取り入れ口と煙突穴を同時に塞いでしまうと中に溜まったガスの行き場が無くなり、炭窯が爆発し てしまう恐れがあるからだそうです。

炭窯の入口にフタをしました 続いて煙突を外します↑左:炭窯の入口にフタをします 右:続いて煙突も外して穴を粘土でふさぎます

 正午頃に煙突を取り外し、煙突穴を塞ぎました。煙突穴を塞いだあとのメンテナンス(炭窯のひび割れた所から煙が出ている箇所の修復)は、笛木先生が夕方 来てくれるとのお言葉に甘え炭窯当番は、午後2時頃に解散しました。サポーターの私は、笛木先生の最後の仕上げが見たくていきもの村を散策していました。 午後4時に笛木先生が奥さんと一緒に登場。私も一緒に炭窯のメンテナンスを行い、ようやく炭窯作りが終了しました。
 炭窯形成のための試し焼きとはいえ、どんな炭が出てくるのか来月の炭だし作業が楽しみです。みなさまお疲れ様でした。(鈴木)

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