水・みず
2006年8月21日
暑い日が続いています。外に出るときには、水分補給を忘れずに。
夏の日に、重いザックを背負い、あえぎながら尾根を越え、谷に降り立ったときの、沢の水が美味しい。
瀬を流れる水の面に、流れの変化によるさざ波が起こると、水はゼリーのような輝きをもって、渇きの欲望に応えてくれる。
この時の、単なる水の美味しさは、正直、ビールに勝ると思っている。
山での渇きには、ひたすら水を飲む。それも岩からわき出てきたその瞬間の水が良い。
赤谷川ムタコ沢の水
山を登るには、地形からみて、基本的に2つのルートがある。
一つは、普通の登山としての尾根登りである。尾根ルートは、素晴らしい景観を堪能できるが、通常、渇きとの戦いになる。
もう一つは、谷登りである。谷ルートは、沢登りと呼ばれ、それなりの装備と、技術が必要になる。
沢登りは、水の流れるところを登っていくわけなので、いつも側には水がある。
谷を登るときには、水の持参を心配したことが無い。
では、登山では、どの位の量の水分が必要になるのか。
山歩きの基本として、夏の日は、体重1Kgにつき、1時間に5cc必要になる、と言われている。
つまり、60Kgの人が、8時間歩くとしたら、60×8×5=2400cc(2.4L)である。
僕の場合は、8時間の山越えとすると3L、つまり3Kgの荷重となり、結構重たい。
沢を登ることは、水がいつでも飲めると言うだけでも、魅力ではないかと思う。
最新のスポーツ医学では、体を動かしている間は、常時水を補給したほうが良いらしい。
丹沢登山用に、しっかりしたデイパックを買ったら、ザックの頂部に穴が空けてあり、そこにH2Oと書かれていた。
ザックの中に水タンクを入れ、タンクにつなげたビニールチューブをくわえながら、山を歩くための装置らしい。
休み時間をとって、水分補給をするより、より少ない最適量で、体の機能が維持できるらしい。
そう言えば、水チューブをくわえて走る、マラソン選手を見たことがある。
ザック頂部のパイプスペース
登山やスポーツでなくても、外での作業をしている時は、夏は必然的に、水分補給が大切になる。
以前は、汗をかき、喉が乾くと、冷やした麦茶ばかりを飲んでいた。
これを、1日中繰り返した暑い日に、夕方には手が痺れて、筋が無意識に痙攣してしまうことがあった。
ものの本によると、体から汗と一緒に失われた、カリウムなどのイオンを補給しないと、熱痙攣が起こるとある。
それ以降、暑い日の仕事では、ポカリスエットなどのスポーツ飲料を飲むようにしている。
スポーツ飲料も、最近は種類が多くなり、何が良いのかよく分からない。
体への水分吸収が速い、不足するイオンを補える、疲労が回復する、筋力アップになる、などなど。
謳っている効果はともかく、汗をかいた時には、どれも美味しく飲める。
最近気になるのは、美味しすぎるせいか、後をひく味が多く、ついつい必要以上の水分を摂っているように、思えることだ。
例えば甘味が強いと、その味で喉が焼け、さらに水が欲しくなる、と言う声も聞く。
結局、冷たい水が一番良いかな、と思うこの頃である。
山には、所々に水場がある。多くは沢の源頭で、いわゆる河川の最初の一滴である。
丹沢は、美味しい水場が多くあることで、有名である。それも、車が入れる林道の脇にあったりする。
今は県道になった、宮が瀬〜ヤビツ峠の林道脇に、豊富な水量が湧いていて、有名な水場があった。
大きなポリタンクを、何個も積んだ車が、狭い林道に停まり、水を汲んでいることがよくあった。
休日には、何台もの車が、同じように汲みに来て、クラクションを鳴らして、喧嘩をしていた。
山では美味しい湧き水も、ポリタンクで都会に持ち帰ったら、少しも美味しくないことを、知らないのだろう。
記憶に残っている、山の湧き水が2箇所ある。
一つは、天竜川の支流三峰川にある延命水。三峰川林道を車止め(大曲)まで行き、少し歩くとある。
もう一つは、奥多摩日原川の鷹ノ巣谷を、大滝を越えて遡行すると、古いワサビ田があり、それの途切れたところにある。
無名の湧き水だが、いつも枯れずに吹き出ていた。大きな岩の割れ目から噴水のように出ていた。
鷹ノ巣山への藪こぎに備え、いつもこの水を水筒に入れた。今も湧き出ているのだろうか。
鷹ノ巣谷の湧き水
水の惑星と言われるこの地球で、飲むことに使える水は、総量の0.01%(14万K立米)と言われる。(国土交通省)
飲み水が充分に無い国がある中で、日本人は外国から「美味しい水」を買っている。
コンビニエンスストアでは、ガソリンより高い水が売れている。
何か変だけど、人は水が無いと生きていけない。
暑い日が続いています。美味しい水を飲みすぎて、夏バテしないよう、充分に体調にお気をつけください。