雨露をしのぐ

 

自然の中では、雨もまた自然ということで、嫌ってはいけないのだろう。

しかし人間は犬、猫、その他獣と違って、

雨が降っても気にしない、という訳にはいきそうもない。

山で雨に会うとまず、気分が憂鬱になるし、

何をするにしても、雨のあたらない空間が欲しくなる。

都会にいると雨宿りはどこでもできるが、山の中ではそうはいかない。

 

歩いているときの雨露は、いわゆる雨合羽でしのぐことになる。

昔はゴム引きの合羽で、登り道では汗でぐちょぐちょになりいっそ脱いでしまいたかった。

今は、ゴアテックスになっているが、それでも熱気で眼鏡がくもる。

くもりと水滴がついた眼鏡で、前がよく見えずよく足をすべらせた。

両手が使えなくても大丈夫な山道なら、折り畳み傘の方が良い。

 

2000年はよく雨に祟られた年だった気がする。

平均的に多かったと言うのではなく、私が山に行くとそこが雨降りだった、という主観的な問題だが。

新潟の泥又川では、2泊3日間ずっと降っていた。

三伏峠を越えた大井川西俣では、間欠的な土砂降りだった。

熊の平下の大井川東俣では、もうじきテントサイトというときに夕立になり

そのまま夜更けまで降り続いた。それも2日連続。

 

泊地での雨露のしのぎかたには、いろいろなスタイルがあると思う。

私は、例え土砂降りでも安らかな夜を過ごしたいので

なるべく、タープ、フライシート、テントを全部持っていく。

 

マタギのスタイルとか言って、あやしい方法で寝るのが友達にいる。

ハイキングで使うビニールシートを、木の枝2本で支えて空間を作り、

もう1枚のビニールシートとウレタンマットの上で寝ていた。

まあ、その山行きはずっと晴天だから良かったものの、夕立でも来たらどうするのだろう。

 

テントはかさばるし重いし、一定の広さのテントサイトが必要になるのを嫌う人は

ツェルト派が多い。

ツェルトは、特定の骨組みが無いだけに軽量で使い方に自由度がある。

風の少ない河原での野営に向いているように思う。

一度、南アルプスの稜線の野営地で使った時は

一晩中風でツェルトがパタパタとはためき、内側に着いた露が雨に様に降りかかった経験がある。

外は晴れて星空だが中は雨、なんてマンガのようだった。