落葉樹(夏緑樹、冬緑樹、雨緑樹)

日本に自生する樹木には、1年中緑の葉を繁らす常緑樹と冬には葉を落とす落葉樹がある。

寒い冬に最もデリケートで大切な葉を凍らさないためには、葉に養分を貯めたり、周りを厚い層で覆ったりして凍りにくくする工夫が必要になり、それだけエネルギーを消費する。一方、冬の太陽の光は弱く、日照時間も少ない。そこで冬の間は光合成を諦め、成長を止める道を選んだのが落葉樹である。毎年、新しい葉を作り秋には捨ててしまうことになるが、ロスを少なくするため葉の作りは薄く華奢にして、光合成を行う面積はなるべく大きくする工夫がされている。

常緑樹の葉は、冬の寒さに耐え、1年間以上の長期にわたって仕事をしなければならないので、コストを掛けても丈夫に作られる。肉厚な葉は硬い表層に覆われる。一般的に面積の大きな葉が少ないのは、丈夫さを優先しているからだと思う。また呼称として常緑樹であるが、1枚の葉が永遠に枝から離れない訳ではない。前の葉があるうちに次の代の葉が展葉するために常緑に見える。樹種により葉の寿命に違いはあるが葉は落ちる。

日本の樹木(広葉樹)の常緑と落葉の境は、気温によりつくられる。当然、暖かいと常緑樹が多くなり、寒いと落葉樹が多くなる。関東近辺にその境がある。関東南部では常緑広葉樹が多くなり、関東北部では落葉樹が多くなる。

日本から世界に目を移すと、落葉樹は冬に葉を落とすとは限らない。そもそも熱帯地方では冬が無い。そこで熱帯には熱帯常緑樹が多くなるが、明確な雨季と乾季のある地域では、乾季に葉を落とす落葉樹があり、雨緑樹と呼ばれる。そこで区別するために温帯地方の冬に落葉する樹を夏緑樹と呼ぶ場合がある。

落葉樹の中で、特殊なものとして冬緑樹がある。冬に葉をつけ、夏に落葉する。→ オニシバリ