果実の構造と分類

被子植物について、一般的な果実の構造を模式化したのが下の図。

花の構造として、雌しべの基部に子房があり、子房の中には胚珠がある。受粉後に胚珠が発達して種子になり、子房が果実になる。
果実の構造は外果皮、中果皮、内果皮が種子を包んでいる。種子の構造は外種皮、内種皮があってを包んでいる。は将来発芽すると新しい植物体となる大切な部分。それぞれの果皮、種皮は明確に分かれていない場合もあるようだ。

裸子植物はその名の通り、子房(果実部)は無く種子が裸の状態になっているとされる。しかし実際の裸子植物の種子は、見た目には被子植物の果実と遜色ないものが多い。種皮が変化して果肉状になったり鱗片状になったりしている。名称も一般的には球果(毬果)と呼ばれる。

果実の一般的な分類方法は、熟したときに果皮が乾いているものを乾果、多肉質になるものを多肉果とし、それぞれ形状によって次のように分類される。
◎乾果
⇒果皮が裂開して種子を出す
・袋果:果皮が1つの袋状になり、1本の線にそって裂開するもの。キンポウゲ科、カツラなど。
・豆果:袋果と同じだが、裂開する線が2本のもの。マメ科に多い。
・刮ハ:一つの果実が複数の癒着した袋状果皮から成るもの。ユリ科、アヤメ科、スミレ科など多い。
・蓋果、長角果、短角果:
    複数の袋(果皮)が癒合し独特の形の果実になったもの。スベリヒユ、アブラナ科などに多い。
⇒果皮が裂開しないもの
・痩果:薄くて硬い果皮に種子が包まれている。一見種子に見える。キク科に多い。
・穎果:痩果と同じ構造だが果皮を分離できないほど合着している。イネが代表。
・翼果:果皮の一部が翼のように変形している。カエデ科、ニレの仲間など。
・堅果:硬い革質の果皮に包まれている。中には1つの種子がある。いわゆるドングリの仲間。
・節果:豆果のように見えるが果皮は裂開せずに種子を包んだまま散布される。ヌスビトハギなど。
・分離果:1つの花に複数の子房があり、それぞれが痩果状になったもの。シソ科、セリ科に多い。分果とも。
◎多肉果
・液果(漿果):中果皮と内果皮が果肉となる。複数の胚珠からなり、ブドウのように小さく硬い種子が1個〜複数個入っている。
・核果(石果):内果皮が硬い核を構成している果実を指す。中果皮が果肉となり、一つの核に一つの種子を含む。
・ナシ状果:多肉果の一種とされるが、果肉は子房でなく花托(花床)が肥大したものなので、偽果とも呼ばれる。
・ウリ状果:硬い外果皮を持ち、複数の胚珠からなるものでウリのような形状になるものを呼ぶ。これも偽果の仲間。
・ミカン状果:複数の胚珠からなるものでミカンのような形状になるものを呼ぶ。
(ただし、多肉果、液果、漿果の名称の用い方は研究者により違いがあるようです。)
他に複数の雌しべや花が元になり果実が集まった形状を集合果複合果に分類している。