自然公園指導員日誌(2009年8月17日 檜洞丸)

 

今年の春に大石バンガローの横から石棚山に上がり、檜洞丸からつつじ新道を降りたことがある。石棚山から檜洞丸の尾根筋が、なだらかで気持ちの良いブナ林が続いていた。暑さとアブが気になったが、この尾根筋を逆に歩いてみたくなり、檜洞丸に登った。
(例によって、樹の写真をクリックすると、説明ページにジャンプします)

 

8月17日(月) 西丹沢自然教室 〜 つつじ新道 〜 檜洞丸 〜 石棚山 〜 箒沢公園橋 

つつじ新道は、始めは暗い小さな谷を歩くが、すぐに小さな尾根を越えると、東沢を下に見た明るく気持ちの良い雑木林の路になる。このつつじ新道はスギ・ヒノキの人工林をほとんど通ることなく檜洞丸に登る。しかし雑木林とは言え、シカの食害のためか林床にはほとんど植生が無い。

県道からの入り口は暗い谷歩き             シカが食べないマツカゼソウ
イヌブナやカエデ類の明るい雑木林だが土はむき出し

東沢沿いの路は、一旦河原に下りて徒渉したあと、檜洞丸につながる尾根筋をひたすら登ることになる。河原は、夏の日差しが明るかった。
尾根筋の急登の途中に展望台がある。ベンチが一つだけの狭い展望台だが、帰りに下りる石棚山が目の前に見える。展望台を過ぎたところでツキノワグマの糞を登山道の真ん中に発見。黒光りしている上で、小さな甲虫が1匹必死に中にもぐり込もうとしていた。
東沢の徒渉点の河原

尾根筋のブナ林                      クマの糞
途中の道標

山頂に近づくと石棚山への分岐点がある。この付近から山頂までは植生保護のための木製階段、歩道が続いている。この歩道脇にはマルバダケブキのお花畑があり、盛りを過ぎた花にアサギマダラとカラスアゲハが群れていた。マルバダケブキもシカが嫌うので丹沢の高標高域では優占種になっている。木道を歩いていると、すぐ近くにシカの親子がいた。人が木道から外れないことを知っているのか、用心はしているが、すぐに逃げようとはせず草を食べていた。


上左:2頭のアサギマダラ、上右:カラスアゲハ、下左:山頂近くの木道、下右:マルバダケブキの中でシカの親子

檜洞丸の山頂には先客が2組いて、若者2人づれとおじさん一人。2人は賑やかにおしゃべりをしているが、おじさんは山頂のポールの脇に立ち、一生懸命携帯電話を操作している。聞くと、携帯のアンテナの立つ場所が微妙にワンポイントなのだそうだ。
結局、心配した暑さもアブも無かった。山頂でもさわやかな風が吹き抜け、ビールを飲んで弁当を食べ終わると昼寝をしたくなる快適さだった。ブナの木には沢山の実がついていた。

ブナの若い実                        ヒコサンヒメシャラの若い実

山頂でノンビリしていて下山の時間割を間違えたようだ。コースの標準タイムで歩いても、箒沢に出るのが17時を過ぎてしまうことが分かった。あまりわき目をふらず、ひたすら歩くことにした。それでも何かあると立ち止まる。この石棚山の尾根筋を歩きたくて今日は檜洞丸に登ってのだから。
テシロノ頭付近での眺望
石棚山付近(アザミばかりの林床植生)

急な下りで久しぶりに右の膝が滲みるように痛んだ。それをカバーするように歩いていて、左も痛くなる。下りの速度がぐっと遅くなり、自然教室に戻ったのは18時近くになっていた。

 

 

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