ザクロ

学名 Punica granatum
別名
安石榴(中)
柘榴 分類 ザクロ科ザクロ属 (落葉高木)
中国にはイラン(安石国)から伝わり、実が瘤のようだったため、安石榴または石榴(ジャクリュウ)と呼ばれていた。これが訛ってザクロになった。 原産・分布 イラン、アフガニスタン、西パキスタン (平安時代に中国から渡来)
神奈川県 (自生は無い)
用途 庭木、果樹
樹皮は淡灰褐色で、不規則に剥がれる。剥がれた後は、褐色が濃くなる。
広く鑑賞用、薬用(実の欄参照)に栽培された。
ザクロ


横浜市
港北区
(植栽)
011216
葉は、長枝に対生し短枝に束生する。長楕円形で無毛。縁は全縁。短枝の先は棘状になる。 ザクロ


大田区
(植栽)
040603




川崎市
高津区
(植栽)
041102
雌雄同株。雄花と両性花がある。
6月頃、緋色の花が咲く。萼は筒状、花弁は6枚で薄くて皺がある。
ヒヨドリが蜜を吸い、花粉を運ぶ。
ザクロ


大田区
(植栽)
040603
秋に球形の果実が付く。熟すと不規則に裂けて、種子が現れる。種子の外皮は、淡紅色で甘く食べれる。
果皮は厚く、先端に萼片が残って突き出る。
種子が多いことから子だくさんの吉祥果とも呼ばれている。
★薬効★下痢、下血、口内炎、扁桃腺、歯痛。生薬名は「石榴皮(せきりゅうひ)」。果皮を手で剥いて天日乾ししたもの。成分はタンニン、フラボノイド他とされる。
ザクロ


川崎市
高津区
(植栽)
041102
こぼれ話
ザクロは、その果実の形、色の特殊性からか、いろいろな神話、伝説に登場する。
「鬼子母神」
仏教における鬼子母神(きしもじん)は、子育て、安産の神だが、元は人肉(子供)を食らう鬼であった。釈迦は、鬼子母神の最愛の子を隠し、子を失う母の悲しみを分からせた。そして代わりに、ザクロの実を食べさせ、人肉を食べないことを誓わせたと言う。鬼子母神の像は、片腕に子供、片手にザクロの実を持つ。
ザクロの実は、人肉を思わせ、その味がすると言うが・・
「冬の起源」
ギリシャ神話では、冥府(死者の国)の食べ物として登場する。
ゼウスの姉にあたる豊穣の神デメテルの娘ペルセポネ(ゼウスとの間の子)は、あるとき冥府の王ハデスに拉致され地下に連れ去られる。ハデスは妻とりをゼウスに相談した結果の所業である。娘が行方不明になったデメテルは地上に降り、怒りと悲嘆に暮れた。地上は干ばつと飢饉に見舞われる。
ゼウスは女神の怒りを解くために、ハデスにペルセポネを母の元に返すように指示する。仕方なくハデスはゼウスに従うが、最後にザクロの実をペルセポネに与えると、彼女は空腹のせいもあり12粒のうち4粒を食べてしまう。
冥府の食べ物を口にすると二度と地上に戻れないという神々の掟があり、ペルセポネは1年の1/3をハデスの妻として冥府で暮らすこととなる。デメテルはペルセポネがいない間は、地上に実りをもたらすのを止めてしまった。それが冬の起源であると言われる。
写真の絵は「ペルセポネーの帰還」 1st Baron Leighton (1830-1896)。
ペルセポネは春になると芽を出す穀物の種子を現し、デメテルと一体で豊穣を司るとされている。
その後譚としては、ハデスはそれほど悪い男神ではなく、もともと女性と会う機会の少ない冥府で、伴侶を求めての苦肉の策だったようだ。ペルセポネとは仲むつまじく暮らすことになる。
「紅一点」
初夏の青葉の中に、紅い花の咲く様子を、中国の詩人・王安石(1021〜1086)は「万緑叢中紅一点」と詠んだ。多くの男性の中にいる一人の女性を指す「紅一点」の語源。しかしザクロの花は、普通は数多く咲くので、想像しにくい。またこの詩は王安石の作ではないとする説もある。

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