リョウブ | 学名 | Clethra barbinervis |
別名 | ハタツモリ(旗積り、畑積り) | |
令法 | 分類 | リョウブ科リョウブ属 (落葉高木) |
昔、飢饉に備え、若葉を食料にするため、令にて植えさせたための名。別名の畑積りも同じ意味。旗積りは、花の咲く様子からつけた名。花の欄を参照。 | 原産・分布 | 北海道南部〜九州、済州島、中国、台湾 |
神奈川県 | 丹沢、箱根、小仏山地に普通に見られる。公園への植栽も多い。 | |
用途 | 庭木、建築(床柱)、器具、薪炭材 | |
山中の落葉樹林帯に普通に生える。どちらかと言うと、尾根筋などのやや乾燥したところを好むように見える。 花の時期には、樹冠が白い花で覆われる。 |
樹 丹沢 三ケ瀬 080706 |
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樹皮は薄く剥がれる。剥がれたあとは滑らかな薄い茶褐色となる。床柱にも利用される。 | 幹 箱根町 金時山 030330 |
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葉は互生して枝の先に集まる。倒卵形で先は鋭頭、基部は楔形、縁は鋭鋸歯がある。 かつて平安時代以来、新葉を湯掻いて乾燥させ、救荒食物として貯蔵させたと言われる。飯や穀物に混ぜて炊き、食料の不足を補ったらしい。リョウブ飯と呼ばれる。 |
葉 横浜市 鶴見区(植栽) 020508 |
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7〜9月に枝先に総状花序を円錐状に出し、白い小さな花を沢山つける。蜜蜂の蜜源になる。 別名の由来の1つは、花の咲く景観を、百千万の旗が翻っているように見立てたことから。 花言葉「溢れる思い、くつろぎ」 |
花 箱根町 湖尻030803 |
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朔果は毛が密生し、褐色に熟す。中には黒い種子が多数ある。 | 実 横浜市 鶴見区(植栽) 040831 |
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冬芽は薄い芽鱗が傘のように開いて落ちやすいため、裸芽となっていることが多い。 葉痕は三角形〜ハート形。中央に大きな維管束痕が一つ見える。 |
冬芽と葉痕 丹沢 城ヶ尾峠 080403 |
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芽鱗が落ちる前の冬芽の状態。 | 冬芽 川崎市 東高根公園(植栽) 040227 |
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枝は、短枝の根元から長枝が伸び、シカの角のような枝振りとなる。このような枝は、terminalia branchingの呼称がある。 | 枝・新芽 丹沢 犬越峠 070505 |
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離れたところにある枝に虫こぶができていた。写真は望遠で撮ったもので、実物を観察できていない。「虫えい図鑑」ではリョウブハタマフシが載っている。タマバエの一種により形成されるとなっている。 | 葉虫こぶ 丹沢 城ヶ尾峠 090531 |
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オトシブミの一つ。リョウブの葉を利用し、揺籃を落とすのはヒゲナガオトシブミなのだろう。 | 葉揺籃 丹沢 城ヶ尾峠 100624 |
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こぼれ話 新芽を食べることができる。飢饉のときには、米などの穀類に混ぜて炊き、不足を補ったと言う。新芽を入れて炊いた飯をリョウブ飯と言う。試しに、野営したときに作ってみたが、美味くも不味くもない、個性の無い味(だから食べることができる)だった。 |