マンサク

学名 Hamamelis japonica
別名 ネソ、ネッソ
満作 分類 マンサク科マンサク属 (落葉小高木)
早春に、他の花に先駆けまず咲くから。あるいは、花が沢山ついて豊年満作だから。 原産・分布 北海道南部、本州、四国、九州
神奈川県 丹沢(北・東丹沢)・箱根(金時山周辺)・小仏山地に分布。ブナ帯の中下部が中心。丘陵地のものは、植採あるいは逸出か。
用途 庭木、公園樹
山地に普通に生える小高木。
市内の公園でも、まだ冬景色の中で黄色い花が満開になっていた。
箱根には葉が小型の標準のマンサクがある。


横浜市
四季の森公園
(植採)
030215
樹皮は灰褐色で小さな皮目が多い。枝はよくたわみ折れない弾力があり、枝条をよじって繊維をほぐし、薪を縛ったりした。下欄「こぼれ話」参照。

横浜市
花木園
(植採)
040215
葉は、単葉で互生、葉身は左右不同で菱状円形あるいは広倒卵形。先は三角形に尖る。縁は波状の粗い鋸歯がある。
マンサクの葉の大小や形状の相違からいくつかの変種がある。丹沢を始め関東地方のものは葉が大きくオオバマンサクとされる。日本海側のは先が丸くなるのでマルバマンサクと呼ばれる。


横浜市
鶴見区
(植栽)
020508
マンサク葉
花は2〜3月、葉に先立って開く。前年の葉腋から短い花序を出し束生する。花弁は4つあり、線形で長さ12〜15mm、通常は黄色。萼片は外に反り返り、内面は平滑で赤紫色を帯びる。雄しべ雌しべも同じ色。
花言葉「霊感、ひらめき、神秘、幸福の再来」など、いろいろある。


横浜市
四季の森公園
030215
マンサク花
線形の花弁が落ちた後は別の花のように見える。萼片の状態がよく分かる。
早春の花は開花期間が長い。花粉を媒介する虫が少ないからだ。赤紫色はハエやハナアブに、肉を連想させるらしい。かすかに肉桂の香りもある。
花後

厚木市
七沢
080413
マンサク花
刮ハは1cmの卵状球形。短い腺毛が密生する。熟すと2つに裂けて、光沢のある黒い種子を出す。

群馬県
みなかみ町赤谷
050904
マンサク実
葉は、秋には黄変する。鮮やかではないが、マンサクの仲間はみな黄葉する。
「いろいろな紅葉」
黄葉

横浜市
鶴見区
(植栽)
041107
マンサク黄葉
冬芽の芽鱗は落ちやすく裸芽となる。花が葉より先に咲くタイプの木は、花芽が独立している。卵球形で短い柄がある。葉芽は楕円形。
葉芽、花芽ともに早く作られ、7月には確認できる。
冬芽

東京都
立川市
昭和記念公園
050306
マンサクメイガフシ(マンサク芽毬フシ)。7月頃できた新芽に、アブラムシの1種の幼虫が、寄生することで発生する。中にはアブラムシが多数いる(写真右)。10月になると、中から成虫が出てきて、マンサクの小枝に幼虫を産みつける。

「夏の虫こぶ いろいろ」
虫こぶ

群馬県
みなかみ町赤谷
050904
こぼれ話 「ネソ」
別名にあるネソ広辞苑で調べると「刈柴を結い束ねる材料。筏を組むにも用いる。クロモジ、マンサクの皮、藤蔓などを捩じったもの。」とある。漢字としては「捻苧」を当てている。「捻」は”ねじる”で、「苧」は麻など植物の繊維のこと。
昔から山仕事でロープや紐のたぐいが必要になったとき、見つけやすいの植物の繊維を利用したことが想像できる。山に柴刈りに行ったら、まずマンサクの細い枝をさがし、それを捩って柔らかくしロープ代わりにすることが日本のどこでも行われていたのだろう。
世界遺産として有名な合掌造りでも、マンサクを使って柱や桁を結束するとされる。マンサクは、なまのときに捩って使用するので、時間が経つと乾燥し、より締まると言われる。
写真は白川郷から横浜三渓園に、1960年に移築された合掌造りの屋根の裏側である。垂木としての丸太どうしがネソで結われていて、屋根材のカヤは藁縄で止められていた。ネソの材は2cm以上の太さがある。ただ結わくだけでもものすごい力が必要になりそうだ。

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