エゴノキ |
学名 | Styrax japonica | |
別名 | チシャノキ、ロクロギ japanese snowbell(英) |
||
(不明) | 分類 | エゴノキ科エゴノキ属 (落葉高木) 有毒植物 | |
実の味がエグイための名。別名のチシャノキは、実の成りかたを動物の乳に見立てた、乳成り(チナリ)ノキから転化したとされる。ロクロギは、傘の柄に使われたため。 | APG分類 | エゴノキ科エゴノキ属(落葉高木) | |
原産・分布 | 北海道、本州、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国 | ||
神奈川県 | 全域に見られる。山地、丘陵に普通。 | ||
用途 | 庭木、床柱、玩具、杖 | ||
雑木林の林縁部に普通に生える。陽樹で、暗い林内では発芽、更新しないとされる。 幹はあまり太くならず、株立ち状になることもある。自然樹形でも、幹が途中で大きく曲がったり、癖のある樹形になることが多い。 白い清楚な花が、枝いっぱいに咲くので、梅雨時の雑木林が一時明るくなる。 |
樹・枝 丹沢 水の木 050619 |
平地の木は幹に曲がある。 横浜市篠原園地 060705 山の木。 丹沢城ヶ尾峠 090112 |
|
樹皮は滑らかで暗紫褐色を帯びる。写真のようにわずかに縦皺がはいることが多い。 西丹沢の尾根筋(ブナ帯)に生えているエゴノキは、赤味を帯び、縦長の鱗状に剥がれる樹皮になる。とても同じ樹とは思えない。 |
幹 武蔵野 0112 |
横浜近郊で見るエゴノキ。 横浜市港北区 061118
西丹沢の尾根筋のエゴノキ。 丹沢城ヶ尾峠 080517
鱗状に剥離していた。 丹沢城ヶ尾峠 080403
|
|
枝は水平に長く張り出し、節ごとにジグザグに曲がる。 葉は互生し、葉身は卵形または楕円形、縁には細かい鋸歯がある。 |
枝・葉 上野原市 秋山 170906 |
上に伸びる枝には葉が螺旋状に互生する。上野原市秋山 170906
葉表は無毛。横浜市港北区 070620
葉裏は葉脈上に細かな毛が密生する。横浜市港北区 070620
葉先は短く尖る。横浜市港北区 070620
葉脚は円形または短い楔形。横浜市港北区 070620
|
|
5〜6月に、今年のびた短い側枝の先に1〜4個の白い花を付ける。萼はコップ状、花冠は深く5裂し星状毛が密生する。雄しべは10本、花柱は雄しべより長い。 花には蜜蜂の仲間が来て花粉を運ぶ。下向きの花のため、ハエ、アブなどの足の力の弱い虫は止まることができない。 送粉 虫媒(花バチの仲間) 花言葉「壮大」 |
花 横浜市 根岸森林公園 040507 |
新芽の中の蕾。上野原市秋山 180410 横浜市篠原園地 060517 横浜市篠原園地 060517 花を横から。横浜市篠原園地 060517 花とクマバチ。横浜市篠原園地 060515 |
|
果実は卵球形の核果で灰白色。10月ころ熟すと、果皮は裂けて種子が落下する。果皮にエゴサポニンを多く含むので石鹸の代わりにしたり、魚毒性があるので、すりつぶして毒流し漁に使った。実際に試してみると、それほど毒性は強くないといわれる。 ★毒★果皮にエゴサポニンを多く含む(溶血作用、胃腸障害)。 |
実 横浜市 港北区 060707 |
果皮が落ちた実(種子)。横浜市篠原園地 060728
若い実。横浜市篠原園地 060705
|
|
種子の大部分は胚乳。 この種子をヤマガラが好む。一旦、地中に埋めてから食べる。豊作の年は、秋から冬にかけてヤマガラが集まってくる。貯食型種子散布といわれる。 ★食★カケス、カラス、キジ、キジバト、コジュケイ、シメ、ヒヨドリ、ヤマガラ、ヤマドリ |
種子 丹沢 雨山 081122 |
||
あまり綺麗ではないが、秋の遅くに黄色くなる。 | 黄葉 横浜市 港北区 071203 |
||
冬芽は裸芽。黄褐色で小さく、楕円形。先は丸くて星状毛が密生する。写真左のように、大小2個の冬芽が並ぶことがある。 | 冬芽 横浜市 篠原園地 061204 |
||
春の新芽がきれい。 | 若葉 横浜市 鶴見区 (植採) 030404 |
||
エゴノキに生成する虫コブは多い。写真は最もポピュラーで面白いエゴノネコアシフシ。アブラムシによって形成される黄緑色の虫こぶ。猫の足を連想させるため、エゴノネコアシ(フシ)の名がある。花と前後して、エゴノキの梢のあちこちに、猫足がぶら下がる。 「夏の虫こぶ いろいろ」 |
虫こぶ 横浜市 都筑区 030704 |
||
オトシブミの一つ。ウスモンオトシブミによる揺籃(と思われる)。 遊歩道に点々と落ちていた。 |
葉揺籃 静岡県 大井川 接阻峡温泉 100530 |