ドクウツギ

学名 Coriaria japonica
別名 イチロベエゴロシ
毒空木 分類 ドクウツギ科ドクウツギ属 (落葉低木) 有毒植物
ウツギに似ていて、全木が毒成分を含むための名。 原産・分布 北海道、本州(近畿以北)
神奈川県 丹沢、箱根の山地には普通、東部の丘陵地に稀。
用途 特になし
川岸や山の斜面、道端など、日当たりの良いところに生える。下からよく枝分かれし、高さ1.5m程になる。
★毒★全木に即効性毒コリアミルチン(Coriamyrtin)を含む(中枢神経の興奮作用 嘔吐、痙攣、呼吸マヒ)。果実は熟すと甘いが最も毒成分が多い。


丹沢
水の木
050619
小枝には4稜があり、褐色。
葉は2列対生で、きれいに並ぶため、一見、羽状複葉に見える。葉の表面は光沢があり、3主脈が目立つ。先端は尖り、基部は円形、ほとんど葉柄は無い。


丹沢
水の木
050619
果実は、萼、花弁ともに残り、果実を包む。熟すと紫黒色になる。 若実

丹沢
水の木
050619
こぼれ話 「古赤道(こせきどう)」
日本の本種を含めドクウツギ科の仲間は世界の各地域に分布する。その分布の様子を地図に書いてみると、個々の分布は局所的で、全体が線で結べるように見える(ドクウツギ科の分布)。じっと見ているとその理由について、いろいろと想像したくなる。植物学者の前川文夫はこの隔離分布の様子を、中生代(白亜紀)の赤道で説明する古赤道分布説を提唱した。以下はその説の概要。
地球の北極の位置は長い期間で変化していた。白亜紀の北極の位置の移動は、同時に大陸移動の結果も反映する必要がある。古地磁気学から白亜紀の北極の位置を推定すると、今の太平洋上カリフォルニアとハワイの中間あたりにあった。その結果として赤道の描く線は、今のドクウツギ科の分布をカバーしている。
一方、現在の赤道付近でも同様だが、低地から高地まで気候帯としては幅がある。そして赤道付近は新しい植物が生まれる環境としての多様性が高い。ドクウツギは被子植物としては原始性を残している。被子植物の黎明期である白亜紀に、赤道付近で生まれたドクウツギが、地軸の変化や大きな気候変動の中で生き残ったと考えると、ばらばらだった分布が一つに見えてくる。同様の分布を示す植物にアケビ科やウィンテラ科がある。
とするのが前川の古赤道分布説である。岩波新書「植物の進化を探る」(1969)でその考え方が紹介されている。視点が植物だけに限定されず、植物が存在した環境を空間的にも時間的にも俯瞰した思考には興奮し脱帽させられる。

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