炭焼き体験(2)

 

株式会社吉本は、長野軒南佐久郡にあり、八ヶ岳や佐久高原に社有林を持っている。今回の炭焼き窯の復元、白炭作りは本業として炭を焼きはじめる、という訳ではないそうだ。窯作りや炭焼きの経験者が少なくなっている中で、できる内に会社としても試行をしておこうと考えているようだ。75才の二人の由井さんの他に、責任者の由井課長と、記録係として若い女性も参加した。

今年の春に新しく作った窯は、社有林の林道のすぐ脇にあり,作業がやりやすいようになっていた。社有林はカラマツとサワグルミなどの広葉樹との混交林(雑木林?)で、落葉しているために明るい冬の林だった。キノコの栽培も、ほだ木を使って自然の中で行っていて、シイタケ、ナメコ、ヒラタケなどが少し狂い生え?していた。これは後で薪ストーブの火で焼いて皆で食べた。

 

12月12日(日)

朝、着いたときには、窯から白い煙が上がっていた。しばらくすると透明の青い煙となり、炭が焼き上がる合図だ。

翌日の朝。まだ白い煙がモクモクと出ている。これは、水蒸気が混ざっており、生焼けの状態。しばし朝の歓談をする。
窯の煙突。ほとんど煙が見えなくなった。遠くから見ると青白い煙が立ち込める。そろそろ良い頃合いだ。
良一師匠が窯の中の状態を見る。
昨日と同じように、少しずつオレンジ色になった炭を窯の外にかき出してくる。このときに、大きい形のまま出せるようになると、良い焼けかたである。
昨日窯から出して一晩置いた炭。灰を被っているので、白っぽい。この炭を水洗いしたわしでこすり、乾燥させると黒く、キンキン音がする白炭になる。

作業の合間に、窯作りの記録を見せて頂いた。近辺には石が無いため、適当な石を集め、運ぶ作業から始めたそうだ。穴を堀り、石を積み窯の形を作っていく。中でもすごいのは、窯の天井の石組みだ。直径2mの穴の周囲から、少しずつ石を中心に向けて張り出させ天井を作っていく。柱や突っかい棒なしで、石をドーム状に積み上げ、最後に楔のような石を打ち込むことで、人が乗ってもびくともしない天井を作っている。2人の由井老人も、作る前は心配だったそうだ。しかし、途中一度も石が落ちることなく完成したことは、驚くと共に大変嬉しかったようだ。本当は、この窯作りか参加したかった。

まだ窯はできたばかりで、試運転の状態ということで、この炭を出すと、3〜4日そのまま置いて冷し、調整するそうだ。炭が焼けすぎるので、石の隙間を粘土で詰めて、密閉度を高めると言うことだった。

炭窯の正面。穴を堀り、石を組んで形を作る。石の隙間は、外からの光で確認しながら、内側から粘土で塞ぐ。最後に土で被う。
窯の後ろから。ブロックで蓋がしてある穴が排出孔(煙突)。この方が煙突の空気の量をブロックで調節できる。
山の傾斜地に作られた窯。窯には屋根がかけられている。
右の屋根は休憩所。真ん中の低い屋根が、炭を出し、消火し、冷ます作業場所。左の高い屋根が窯。さらに左のネットはキノコの栽培エリア。
炭焼き所を上から見た所。窯のすぐ近くまで車が入れる。
周りの雑木林。カラマツ、サワグルミの林。冬の光が明るい。

 

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