山で食べる、山を食べる2

 

料理をする道具は、人様々なようだ。

一般的には飯盒あるいはコッヘル一式と箸、スプーン、カップなど小物があれば間に合う。

しかし、できた料理を盛る器と、煮炊きの器はなるべく別がよいと思う。

食べ終わらないと次の料理ができないことになる。

一度、飯盒一つだけを持って山に行ったことがあるが、

ご飯を炊いてしまうと、レトルトカレーを温めるためお湯を沸かすこともままならなくなり不便を感じた。

 

今は、2鍋式のアルミのコッヘルとアルミの皿2枚、シェラカップ、2重底のマグカップでほぼ事足りている。

本当に便利なのがベニヤ板である。ザックの背当ての内側に一枚入れていく。

まな板にもなるし、食事の時のテーブルにもなる。

岩魚をさばくにはどうしてもまな板が欲しい。テーブルがあると、貧しい食事も豊かになる。

 

その他の食事時の愛用品は、小さめの5徳、菜箸2膳(よく見失うので)、洗剤不要の食器洗い、魚のタモ。

5徳はスプーン、フォーク、ナイフ、缶切り(アレ4徳?)で重宝する。

魚をすくうタモも色々と活躍する。大きな岩魚をすくい、川虫を取る。

その他、そーめんを冷やす、山菜を洗う、洗った食器を入れて乾かす、などなど。

 

汚れた食器や残飯の処理方法はどうすとよいのだろうか。

食器の油分はちり紙で拭き取り、残りは川の水で洗っている。洗剤不要の食器洗いを使う。

残飯(岩魚の頭など)は仕方ないので穴を掘って埋めている。

ちり紙などのゴミは燃えるものは焚き火で燃やすが、雨など降ると持ち帰るしかない。

ともかく全部、食べるか、持ち帰るべきだろう。

本来、燃やすのも余程注意が必要だし、埋めるのも良くないのかもしれない。

 

定常的なテントサイトでは、よくガスの空き缶の放置がある。

誰が、どんな顔をして、どんな会話をしながら空き缶を放置していくのか想像してみる。

ゴミの無いところでは、ザックを詰めながら「くそ、もう入らねーや」と(わざと)つぶやきながら放り出す。

既に2〜3個捨てられていると、それが当然であるかのように、放置缶の横に並べていく。

多分、何も考えても、感じてもいないのだろう。

 

ともかく、食事の時間は、山での安らぎの時間だ。

静謐な空気と、アルコールの至福と、食事の温もりとが、森の夕闇に溶け込んでいく。

山に感謝。